昼休みの電話当番は労働時間になるのか?知っておくべき2つのポイント

今回は、労働者の方から以下のようなご相談がありましたのでご紹介したいと思います。

ご相談の内容は、
「私の会社では、基本的にお昼休憩は、自由なので外に食事に出たり、近所の公園でお弁当を食べたりしていますが、週に1回、持ち回りでお昼休憩に来客と電話対応のため、会社のデスクに残らなければならない日があります。その日は、お弁当を持参したり、コンビにでおにぎり等を買ってデスクで食べることになります。実際には来客はほとんど無く、電話も1回あるかないかといのがほとんどです。上司からは「悪いけど持ち回りで残ってくれないか?」と頼まれて、部署のみんなで相談して今の形になったそうですが、私は、後から入社したのですが、あまり納得していません。お昼休憩に電話番をするのは、労働時間にならないのでしょうか?」
というものでした。

お昼の休憩時間に、電話番のために誰かが残るようにしている会社は、特に中小企業では多いと思います。そこで、法律上、この電話番が労働時間に該当するのか、該当するとして、どのような対応をする必要があるのかなどを解説していきたいと思います。

 

 

電話番の時間は労働時間に該当するのか?しないのか?

今回のご相談のケースでは、来客はほとんど無く、電話も休憩時間に1回あるかないかということでしたので、お昼休憩の時間のうち、大半は、何も仕事をしていない時間といえます。これだと、この時間は休憩時間だと捉えても問題ないような気がしてしまいますが、休憩時間に関して厚生労働省の通達の中に以下のものがあります。

「休憩時間とは単に作業に従事しない手持時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であつて、その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと。」

ご相談のケースでは、ほとんどの時間は、何も作業をしていない時間ですが、いつ電話対応、来客対応が出来る状態で待機していなければ時間で、まさにこれが手待時間ですが、通達では、手待ち時間は休憩時間には該当せず、労働時間として取り扱うこととしています。

結論として、ご相談のケースでは、会社は、電話番をさせている時間は、労働時間として扱う必要があるといえます。

お昼休憩に電話番をさせた場合の問題点

お昼休憩に行った電話番が労働時間に該当するとすると、相談者の場合、お昼には休憩時間をとっていないことになります。これは労働基準法上問題ないのでしょうか?

休憩時間に関して、労働基準法は以下のように定めています。

労働基準法第34条第1項
「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」

ご相談者の会社の1日の所定労働時間が8時間だとすると45分の休憩を労働時間の途中に必ず与えなければなりません(ちなみに、所定労働時間8時間の場合、1時間の休憩を与えないといけないと勘違いしている方が多いのですが、8時間ちょうどの所定労働時間の場合は45分で構いません。8時間を超える労働時間の場合は1時間必要です)。つまり、お昼の休憩時間すべてを電話番として待機していたのであれば、その時間以外に45分の休憩を労働時間内に与えなければ、労働基準法違反になります。電話番を行った時間を労働時間として扱い、別途、残業代を支払ったとしても、この労働基準法34条違反が消えるわけではないことに注意が必要です。

また、労働基準法第34条第2項は以下のように定めています。
「前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。」

原則として、休憩時間は一斉に与えなければなりません。ご相談者のように、一人だけ休憩時間に仕事をして別の時間に休憩時間を与えることはできません。ただし、例外があります。先ほどの第34条第2項の後半に書かれているように、労働者の代表と会社との間で一斉休憩を除外する労使協定が締結されていれば、休憩を一斉に与える必要がありません。また、労働基準法施行規則第31条において「運送業、販売・理容業、金融・保険・広告業、映画・演劇業、郵便・信書便・電気・通信業、保健衛生業、旅館・飲食・接客業、官公署の事業」これらの事業については、例外として、一斉に休憩を与えなくて良いとしています。

ご相談者の会社が、一斉休憩の例外にあたる事業か、あるいは、労使協定があればこの点については問題ないのですが、これらに該当しないのであれば、こちらについても労働基準法違反となってしまいます。

まとめ

休憩時間については、会社によって、なんとなく曖昧なルールの下でとっているところも少なくないかと思います。でも、実際には、厳密に言えば、労働基準法に違反してしまっているケースも少なくありません。なかなか全てを法律どおりに運用することは、難しいかもしれませんが、出来る限り労働基準法等を遵守しつつ、労働者の不満も解消されるよう会社としては、注意していく必要があると思います。

 

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