現在は、過去にないほどの「人手不足」の状況になっており、転職される方、または、今後、転職したいと考えている方は多いと思います。
いざ、転職が決まったとき、意外なところで困ることがあります。
転職先の会社から「雇用保険被保険者証と年金手帳、扶養控除申告書を入社日までに持ってきてください」と言われて、そのときにはじめて、手元に「雇用保険被保険者証」がないことに気づく方も多いようです。
では、雇用保険被保険者証を紛失してしまったときに、どうすればよいのでしょうか?
今回は、雇用保険被保険者証を前の会社からもらっていない、または、紛失してしまったときに取るべき対応について、具体的な再発行手続も含めて詳細に解説していきたいと思います。
そもそも雇用保険被保険者証とは?
まず、そもそも雇用保険被保険者証(雇用保険証といわれる方もいます)がどういうものかご存じない方もいるかもしれませんので、実物をお見せしたいと思います。
現在の様式は以下のような形になっています(白色の用紙です)。
細長い短冊状の形をしています。
少し古いタイプだと以下のような形になります(薄いクリーム色の用紙になります)。
どちらのタイプでも同じものなので、どちらでも問題ありません。
雇用保険被保険者証ですが、何枚も持っているんだけど・・・という方もみえると思いますが、被保険者証は、新しく会社に入社するたび(会社が雇用保険加入手続きをするごとに)に発行されるので、転職回数が多い方などは、複数枚持っていてることになりますので、問題ありません。新しく就職した会社には一番新しい雇用保険被保険者証を提出するようにしてください。
ただ、複数枚もっていたとしても、それらすべての雇用保険被保険者番号は同一であるはずです。雇用保険被保険者番号は、原則として一人一番号です。
そうは言っても、番号が違う雇用保険被保険者証を何枚も持っている方もみえます。それは、会社が雇用保険の加入手続を行う際に、「この方は過去に雇用保険に加入していないので、新規で番号を発行してください」というやり方で手続をしているためです。これを行うと、過去にその方が雇用保険に加入した経験があって番号を持っていても新たな番号が発行されてしまいます(ただ、新規の番号発行で会社が手続したとしてもハローワークの担当者が過去の履歴に気づいて、会社に確認するように依頼する場合があります。その場合は、新規番号は発行されません)。
もし、複数の雇用保険被保険者番号をお持ちの場合は、最寄のハローワークでそれらを統合する手続を間単に行うことができます。ただ、雇用保険被保険者番号は、原則として、最後に雇用保険に加入していた会社を退職してから、7年間その番号で次の会社へ再就職等をしなければ記録が消滅していますので(例えば、前職を退職した後、7年以上専業主婦をしていたり、自分で起業していたりする場合です)、あまり古い番号を統合する意味はありません。よって再就職までに7年以上あいている場合は、新規で番号をとることになります。
なぜ、雇用保険被保険者証がないか考えてみる
なぜ、今、雇用保険被保険者証が手元にないのでしょうか?考えられる理由は2つです。
一つは「退職時に前職の会社からもらった記憶はあるが、紛失してしまった」です。この場合は、もうあきらめて雇用保険被保険者証の再発行手続をとりましょう(再発行手続の仕方は、このあとご説明します)。
もう一つは、「そもそも前職の会社からもらっていない」です。
実は、このケースは非常によくあります。特に次の職場が決まっていて、会社に対し離職票の発行を希望しなかった場合には多いようです(離職票は、次の仕事等が決まっていなくて失業保険(失業給付)を受給するために必要な書類です)。離職票の発行を希望した場合でも、本来は離職票と一緒に雇用保険被保険者証も会社から送られてくるのですが、まれに、雇用保険被保険者証だけが無い場合もあります。その場合、会社に問い合わせても良いですが、離職票自体にも「雇用保険被保険者番号」が記載されているので、新しく就職した会社に離職票のコピーを提出すれば、新しい会社は特に何も言わないと思います。
会社が労働者に雇用保険被保険者を渡すタイミングは、会社によって様々ですが、私の感覚的には、退職時に渡される会社が多いようです。しかし、実は、これは間違いなのです。これについて厚生労働省は以下のようなQ&Aを公開しています。
Q 「雇用保険被保険者証」は、今後の雇用保険の手続きで必要になるため、事業主(会社)が保管すべきではないのでしょうか?
A 「雇用保険被保険者証」は労働者に対してハローワークから交付するものであり、事業主(会社)が保管すべきものではありません。
なお、従来は雇い入れた労働者が資格取得時の氏名を変更する場合など事業主がハローワークへの手続きを行う都度、「雇用保険被保険者証」を添付することとされていましたが、現在は必要ありません。
上記のことから、本来は、会社が雇用保険の加入手続きを行った際に、ハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」を労働者本人にただちに渡さなければならないのですが、これが行われていないのが実状です。
どちらにしろ、会社からもらっていないのであればとるべき行動は、その前職の会社に電話して雇用保険被保険者証を送ってもらうか、自分で再発行手続をとるかです。前職の会社には電話しづらいという方もいると思いますので、そういった場合は、自分で再発行手続をとりましょう。
いざ、「雇用保険被保険者用保険被保険者証」の再発行手続を行いましょう!
それでは、再発行手続を行ってみましょう!驚くほど簡単です。
持参するものを用意しましょう
用意するのは、運転免許証など身分証明書と印鑑。そして、前職の会社名・住所・郵便番号・電話番号を調べてメモ帳とかに書いておきましょう。
ハローワークへ行きましょう
再発行手続はハローワークで行いますので、まずはハローワークへ行きます。どこのハローワークかというと、住所から一番近いハローワークで構いません(オンラインで繋がっているので、実はどこでもいいんですが・・・)。
ハローワークに着いたら、一階の総合受付に行きましょう。そこで「雇用保険の被保険者証の再発行をお願いしたいのですが・・・」と伝えましょう。担当部署へ案内してくれます。
雇用保険被保険者証再交申請書を書きましょう
担当部署につくと、「雇用保険被保険者証再交付申請書」という用紙を渡されますので、必要事項を記入しましょう。
ちなみこういった用紙です。
(クリックで拡大できます)
この際、雇用保険被保険者番号は分からないと思うので、書かなくても大丈夫です。その代わり、事前に準備しておいた前職の会社の名称や住所・電話番号・郵便番号を記載します(この情報からハローワークのほうで番号を調べてくれます)。
雇用保険被保険者証を受け取りましょう
申請書を記載して担当者に渡したら、おそらく10分程度で、新しい雇用保険被保険者証がもらえますので受け取りましょう。ただ、残念ながらこの雇用保険被保険者証には「再交付」の印が押されてしまいますので、新しく入った会社には、再交付してもらったことが分かってしまいます(だからどうというわけではないですが・・・)
まとめ
如何でしたでしょうか?思っていたよりも、簡単に再交付できそうと思われたんじゃないかと思います。もし、手元に雇用保険被保険者証がなくても、慌てず再交付手続を行いましょう。
ちなみですが、会社は雇用保険の加入手続をする際に、必ずしも新しく入社された方の雇用保険被保険者証を必要としません。どういうことかと言うと、会社は「雇用保険被保険者資格取得届」という用紙をハローワークに提出して、雇用保険の加入手続きをとるのですが、もちろんこの用紙には本来、入社される方の雇用保険被保険者番号を記載しなければなりません。しかし、分からない場合は、番号欄は空欄にし、履歴書から前の職場の会社名といつから勤めていたかを備考欄に書いておけばハローワークのほうでその就職履歴から番号を調べてくれるからです。
ですから、実は、新しく入社した方に雇用保険被保険者証の提出を求めない会社も存在します。