健康保険の高額療養費については、以前「高額療養費制度で損しないための4つのポイント」で詳しく解説しました。その記事の中でも「限度額認定証」について解説していますが、今回は、この「限度額適用認定証」についてもう少し詳しく解説していきたいと思います。
限度額適用認定証は、入院や手術などがあらかじめ分かっている場合には、非常に便利な制度なので、現在、入院や手術を予定されている方は、是非、ご活用ください。
高額療養費制度についておさらい
以前の記事でもご説明していますが、簡単に高額療養費せいどについてもおさらいしておきましょう。
病院などの窓口で支払う金額が高額になったときに、後から申請することで、以下の自己負担額を超えた分の額が払い戻される制度が「高額療養費制度」です。
○70歳未満の方の限度額
例えば、年収が約370万円以下の方は、入院や手術などをして、1ヶ月間にどれだけ高額な医療費がかかったとしても、仮に100万円かかったとしてもこの高額療養費制度によって、実質負担する額はわずか57,600円のみになります。もちろん、健康保険がきかないような治療や医師の指示に基づかない個室料金は除きますが、被保険者(患者)にとっては非常にありがたい制度といえます。
限度額適用認定証は非常に便利な制度
上記で説明したように、高額な医療費がかかったとしても「高額療養費制度」により、患者さんの負担は少なくなります。しかし、高額療養費制度は、原則として、一旦、本来の医療費を窓口で支払い、その上で、自分で申請書を記入し、それを提出する必要があります。また、申請書を提出しても実際に払い戻しが実行されるのには3ヶ月以上かかります。中には、この高額療養費制度の対象になっているのにもかかわらず、申請を行っていない方も数多く存在します。
そこで利用したいのが「限度額適用認定証」の取得です。
限度額適用認定証を取得しておき、これを入院や手術をした病院に提示しておけば、病院から請求される医療費は、高額療養費の自己負担限度額までになります。
先ほどの例で、年収約370万円未満の方であれば、病院から請求される金額が57,600円を超えることが無いことになります(差額ベット代、入院中の食事代等は除きます)。
しかも、後日に、面倒な申請などをする必要もありませんし、払い戻しを待つ必要もありません。「限度額適用認定証」を提示するだけでOKなのです。
ちなみに、すでに入院してしまっている場合でも、「限度額適用認定証」を申請することはできますので、長期の入院の方は、是非、今からでも申請をしてください。
限度額適用認定証を利用する場合の流れ(協会けんぽの場合)
① 限度額適用認定申請書(こちらからダウンロードできます)を協会けんぽの各都道府県支部へ提出。
↓
②協会けんぽが 限度額適用認定証を交付します。(発行までだいたい1週間ほどです)
↓
③ 病院等でその限度額適用認定証を提示します。
↓
④ 同一医療機関の1ヶ月の負担額が自己負担限度額までとなります。
※上記は協会けんぽの場合の申請の流れですが、国民健康保険の場合は、申請先が各市区町村の国民健康保険課等に変わるだけで流れはほぼ同じになります。
ちなみに、70歳未満の方は上記のように、限度額適用認定証の申請が必要になりますが、70歳以上の方は、自動的にこの制度が適用されますので、特に何もしなくても、病院の窓口での支払いは、自己負担限度額までになります。
まとめ
如何でしたでしょうか?「限度額適用認定証」を申請するメリットは、
①支払いの際、事前に高額な費用を準備しなくても良くなる。
②事後に面倒な申請手続きは必要なくなる。
③通常の高額療養費は、払い戻されるまでに3ヶ月以上かかるが、それを待つ必要がない。
などがあげられます。非常に便利な制度なので、入院や手術が事前に決まっているのであれば、決まった段階で早めに申請しておきましょう。