今年(2019年)は、10日間という非常に長いゴールデンウィークでした。毎年、ゴールデンウィーク明けや年末年始の休暇明けには、会社を退職したいと考える人が増えるようです。今、ちょうどゴールデンウィーク明けなので、退職をお考えの方もいるのではないでしょうか?そこで、今回は、退職したい場合に、いつ、会社に伝えればよいのかなどについて解説していきたいと思います。
退職する場合、まず、会社の就業規則を確認しよう
退職の意思をいつまでに会社に伝えるかですが、まずは、会社の「就業規則」を確認してください。就業規則は10名以上労働者がいる会社については作成と届出が義務化されているので、もし、見たことがないという場合は、一度、会社に確認してください。
通常、就業規則には以下のような条文が存在します(もちろん、各会社によって内容は異なります)
第〇条(退職手続)
1.従業員が自己の都合により退職しようとするときは1ヶ月前までに退職届を提出しなければならない。
2.退職届を提出した者は会社の承認がある迄は従前の業務に服さなければならない。
3.従業員が、退職または解雇されたときは、会社が指定する日までに、会社が指定した者に完全に業務の引継ぎをしなければならない。
上記の条文では、「1ヶ月前までに退職届を提出しなければならない」としていますので、原則としては、これに従い、退職したいと考えている日の1ヶ月以上前に退職届を提出することが望ましいです。
では、絶対に、「1ヶ月前」に退職届を提出しなければならないかというとそういうわけではありません。
実は、労働基準法には、退職届の提出時期に関する条文はありません。しかし、民法の627条に以下のような条文があります。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
雇用契約の期間を定めない正社員等の無期雇用の労働者の場合は、「解約の申し入れの日」つまり、退職届を提出した日から2週間で雇用関係が終了するとしています(例外アリ)。
基本的は、就業規則よりも法律のほうが優先されるため就業規則で「1ヶ月前」と規定していても2週間で終了させることも可能ということになります。
しかしながら、法律を立てに上記のような主張をしても、無駄に会社と揉める原因となるだけです。ですから、可能な限り、会社の就業規則に従って、退職届を提出することをおすすめします。もちろん、いろんな事情により、1ヶ月前には提出できなかった場合には、会社と相談し、納得してもらうことも重要だと思います。
就業規則が無い場合はどうするか?
労働者が10人未満の会社や10人以上であっても就業規則を作っていない会社も存在します。また、就業規則があっても先ほど解説したような条文が無いなどの場合、どうするかですが、そういった場合は、上記の民法の規定に従って、2週間前までに退職届を提出すれば良いと思いますが、その場合でも、通常、引継ぎや後任の人選などで、1ヶ月程度は必要となりますので、やはり1ヶ月程度前に申し出るほうが無難かと思います。
有期の雇用契約を結んでいる場合はどうか?
1ヶ月や6ヶ月、1年など有期の雇用契約を結んでいる場合は、いつまでに退職を伝えれば良いでしょうか?
実は、有期の雇用契約の場合は、原則として、その締結した雇用契約期間が満了するまで退職することはできません。逆に、会社もその期間内に一部の例外を除き解雇することはできません。つまり、契約期間満了まで勤め続ける必要があります。
ただ、有期の契約であっても、どうしても退職をしたい場合に、それを会社に伝えて会社が同意してくれれば、もちろん退職は可能です。ですからこの場合も会社の同意を得やすくするために、少なくとも1ヶ月以上前に伝えたほうが良いでしょう。
まとめ
私は、社会保険労務士という仕事を15年以上しておりますので、今まで様々な退職に関する問題に携わってきました。最近になって、ものすごく増えたのが何の連絡もせず会社に来なくなって、電話も繋がらないため、自然退職にするしかないというケースです。もちろん色んな事情があるという方も見えるとは思いますが、実際は、そうでない方も多いです。会社に言いづらいという気持ちもわかりますが、社会人としてきちんと退職を伝えることも必要ではないでしょうか?
逆に、きちんと退職の意思表示をしているのに、会社が辞めさせてくれないとう会社も存在します。そういう場合は、出勤しないという強引な方法を選択する必要もあるのかなと思います。