今回は、国からもらえる、老齢年金、障害年金、遺族年金と同じく国からもらえる、雇用保険の失業給付が同時に受給できるかについて、解説したいと思います。
年金も失業給付も同じ国から支給されるお金ですが、それぞれ支給される「理由」が違いますが、同時に受給できるのでしょうか?年金ごとに解説していきます。
障害年金と失業給付は両方受給できるか?
障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)と雇用保険の失業給付は、それぞれ受給資格を満たしていれば、両方とも同時に受給することは可能です。「受給資格を満たしていれば」と書きましたが、失業給付は「働くことができる状態にあって、働く意思があるかた」のみが受給できます。障害年金を貰っていたら、失業給付がもらえないということではありません。例えば、特に精神疾患等で障害年金を受給されている方で、医者から「就労不可」との診断がでて、会社を辞めた場合は、その時点で「働くことができる状態」にないので、失業給付は受給できないことになります。このことを黙って失業給付を受給すると不正受給になりますので、注意してください。
遺族年金と失業給付は両方受給できるか?
遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)と失業給付は、特に問題なく、両方同時に受給可能です。
老齢年金と失業給付は両方受給できるか?
まず、老齢年金の種類について確認したいと思います。国から支給される老齢年金は大きく分けて3つあります。
65歳前に支給される「特別支給の老齢厚生年金」、65歳以降に支給される「老齢厚生年金」と国民年金からの「老齢基礎年金」の3つです。
この中で、失業給付と同時に受給できないのは、「特別支給の老齢厚生年金」のみです。そもそも、失業給付が受給できるのは65歳未満です(65歳以降は高年齢者求職者給付金という一時金になります)。そのため、65歳以降に貰える「老齢厚生年金」や「老齢基礎年金」と同時に貰う場面が基本的にはありません(高年齢求職者給付金と年金は同時に受給できます)。
「特別支給の老齢厚生年金」と失業給付は同時に受給ができないため、もし、退職後、失業給付の受給手続き(求職の申し込み)を行うと、失業給付を受給していた期間の「特別支給の老齢厚生年金」は止まります。
では、老齢基礎年金を繰り上げして受給していた場合はどうなるでしょうか?繰り上げ受給をして65歳前に老齢基礎年金を受給したとしてもそれはあくまで本来、65歳以降にもらえる年金を減らして受給しているに過ぎませんから、失業給付との併給は可能です。
また、別のケースで例えば、65歳になる直前に会社を辞め、65歳以降に失業給付を受給した場合はどうでしょうか?(失業給付になるか高年齢者求職者給付金になるかは「退職日」が65歳より前か後かで決まります。よって65歳前に退職すれば失業給付が受給できます)。
この場合、失業給付を受給する時点で65歳以降になっているので貰う年金はその時点で、「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」なので、失業給付との併給は可能です。
まとめ
結局、失業給付と併給ができないのは、65歳前にもらえる「特別支給の老齢年金」のみということになります。特別支給の老齢年金が受給できるのは男性で昭和36年4月1日以前生まれの方、女性で、昭和41年4月1日以前生まれの方のみですので、最終的には支給される方はいなくなるので、そのころにはこの併給の問題もなくなることになります。