人事労務部

アルバイトの雇用保険加入を徹底解説

今回は、アルバイトの方の雇用保険に関する疑問を解説したいと思います。
例えば、学生でアルバイトの場合は、どうなるのか?会社員の方が副業として別のところでアルバイトした場合はどうなるのか?副業としてのアルバイトでなくても、例えば3ヶ所のアルバイトを掛け持ちしている場合はどうなるか?などを解説したいと思います。

  

雇用保険への加入条件

雇用保険に加入するための条件というのは、正社員であってもパートであってもアルバイトであっても変わりません。その名称にかかわらず、以下の2つを満たす場合に雇用保険の被保険者になります。

1.所定労働時間が週20時間以上である
1日や1月ではなく「週」の所定労働時間で判断します。一般的な正社員の方の場合、1日8時間で週5日の勤務であれば、週40時間になりますね。ですから、一般的な正社員の方の所定労働時間の半分以上であれば雇用保険には加入することになります。パートの方やアルバイトの方の場合、例えば飲食店やコンビニなどで勤務形態がシフト制のため、週によって所定労働時間がバラバラという場合も考えられます。その場合は、1ヶ月間の週平均の所定労働時間を算出して判断してください。

2.31日以上の雇用見込みがあること
31日以上雇用される予定であればOKです。そのため、例えば最初から2週間で終了することが明らかになっている短期のアルバイトの場合は、加入できません。雇用期間は、労働契約書を交わしている場合は、そこに記載があります。もし定めがない場合は、無期雇用になりますので加入は可能です。
小さな会社や個人の飲食店などの場合、労働契約書を交わしていないケースも多いとは思いますが、その場合は、採用面接時にどういった条件で採用されたのかを確認してください(法律上は、会社は採用時に書面で労働条件を交付することが義務化されています)。分からない場合は、会社やお店に直接確認してください。特に取り決めがない場合は、無期雇用ということになりますので、雇用保険への加入は可能です。

高校生や大学生の場合は雇用保険に加入できる?

高校生や大学生などは、原則的には、上記の加入要件に該当したとしても雇用保険には加入できません。基本的には加入できないと考えてください。
しかし、一部例外があります。
それは、
1.例えば、もう、卒業が決まっていて、卒業後も引き続き、そのアルバイト先に就職することが決まっている場合
2.高校や大学を休学している場合は、上記の加入要件に該当すれば、雇用保険へ加入できます。復学したら雇用保険からは外れることになります。
3.定時制の学校に通っている場合は、通常の方と同じように上記の加入要件に該当すれば、定時制の場合は休学していなくても雇用保険へ加入できます。
思い当たるのは、上記ぐらいですが、他にも例外的に認められるケースがあるかもしれませんが相当なレアケースだと思ってください。

ちなみに昼間部の高校生や大学生は雇用保険へは加入できませんが、仕事中にケガをした場合は、会社の労災保険が使えますので、仕事中にケガをした場合は、自分や親の健康保険証を使わずに、必ず労災で処理してもらうようにしましょう。

昼間は正社員として働いているが夜にアルバイトしている場合は?

最近は、副業を認める会社も増えてきたので、昼間は普通に正社員として働いて、雇用保険にもそこで加入している方が、夜に、飲食店やコンビニ、警備会社等で働いた場合はどうなるでしょうか?

仮にその夜間のアルバイトの所定労働時間が週20時間以上であっても、すでに正社員として働いている会社で雇用保険に加入しているので、そのアルバイト先では雇用保険には加入できません。雇用保険は、主たる賃金を受ける会社で加入することになっています。

ちなみにこの場合でも、アルバイト中にケガをした場合は、アルバイト先の労災保険を使うことになるので注意してください。

アルバイトを3つ掛け持ちで働いている場合はどうか?

正社員として働いている職場はなくて、アルバイトを3つ掛け持ちしていて、そのすべてが週20時間以上の勤務の場合はどうでしょうか?

この場合も、先ほどの場合と同様でこの3つのアルバイト先のうち主たる賃金を受ける会社で加入してください。一般的には、月の総額が一番高いところで加入すればよいかと思います。

雇用保険の被保険者番号というのは一人1番号なので、例えばA社というアルバイト先で雇用保険に加入していた方が、B社というアルバイト先でも勤務を始めたとします。この場合、B社がこの方の雇用保険の資格取得手続きを行ったとしても、すでに雇用保険をA社で加入しているので、ハローワークが履歴から雇用保険に加入していことを判断して、B社からの取得手続きは受付しません。そのため基本的には2重加入になることはないのですが、まれに2重加入、3重加入になることがあります。それは、新規で雇用被保険者番号が発行されてしまう場合です。
こういったことがまれにあるので、もし、給料から雇用保険料が2つ以上のアルバイト先から控除されている場合は、2重加入になっている可能性が高いので、メインではないアルバイト先に他社で雇用保険に加入している旨を伝えましょう。

まとめ

基本的には、アルバイトであっても、週20時間以上で31日以上勤務する場合は、雇用保険に加入する義務はあるのですが、ここまでご説明したように、アルバイトでも雇用保険に加入しない場合がいくつかあるので注意してください。

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