人事労務部

定年後同じ会社に再雇用された場合、社会保険はどうなる?

現在は、65歳までの継続雇用が会社に義務として課せられていますので、65歳まで勤めることが出来ますが、多くの会社では60歳で定年退職とし、1日も空けずに労働条件を変更して再雇用しています。1日も空いていませんが、一旦は、退職扱いになっているので、社会保険も一旦、定年退職日で喪失手続きを取るのでしょうか?
今回は、このあたりのことを解説したいと思います。

  

健康保険・厚生年金と雇用保険では対応が異なる

60歳で一旦、定年退職するとしても1日も空けずに再雇用されているので、雇用自体は継続していまず。そのため、本来は、健康保険・厚生年金・雇用保険は、喪失手続きをすることなく、そのまま継続してもいいはずです。
しかし、定年後の再雇用では、ほとんどのケースで、給与が大きく下がります。
そのため、不都合が生じる場合もありますので、以下のような手続きが可能です。

健康保険・厚生年金の場合

ここで問題になるのが、健康保険料と厚生年金保険料です。健康保険料と厚生年金保険料は、通常の場合、給与が下がってから4ヶ月目からしか、保険料が下がりません(これを随時改定といいます)。そのため、3ヶ月間は、給与は低いのに保険料は高額という状態になってしまいます。

これを避ける目的で、定年後の再雇用時に限り、「同日得喪」が認められています。この場合の「同日得喪」とは、資格喪失手続きと同時に資格取得手続きも行うことを指します。これにより、健康保険料・厚生年金保険料は、給与が下がったのと同時に引き下げることが可能となります。
原則として、定年退職後の再雇用以外にこれを使うことはできません。
定年退職後の再雇用でも給与が下がらない場合は、この同日得喪を行う必要はそもそもありません。
同日得喪を行った場合は、一応、一旦、健康保険の資格は喪失することになるので、保険証も切り替わることになります。今までの保険証は一旦、返却し、新しい保険証が発行されることになります。

雇用保険の場合

雇用保険は、健康保険・厚生年金と違い、保険料は単純に給与の総支給額に雇用保険料率を乗じるだけなので、先ほどのような「同日得喪」の必要はありません。

ただ、会社側は、その再雇用者の給与が大きく下がる場合(75%未満になる場合)は、雇用保険から「高年齢雇用継続給付」が支給される場合がありますので、該当する場合はその手続きを行う必要があります。
「高年齢雇用継続給付」を受給するためには、60歳時点の賃金(下がる前の賃金)の登録手続きも必要となりますので、前もって準備しておきましょう(この手続きは会社が行います)。

まとめ

定年後の再雇用の場合、定年退職により、退職金も清算されるので、一旦、社会保険もすべて資格喪失手続きを取らなければならないと考えがちですが、必ずしんもそうではないので、会社の担当者の方は注意してください。
また、現在では、再雇用後は、全く同じ仕事をしていても給与が下がるのが一般的ですが、今後、同一労働同一賃金が義務化されてからは、それが許されなくなる可能性もありますので注意してください。

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