約1ヶ月ぶりの投稿となってしまいました。前回、前々回と雇用調整助成金の問題点を指摘させていただきましたが、この1ヶ月で、雇用調整助成金は度重なる変更が加えられ、以前に比べればかなり申請しやすくなったと言えます。申請先の労働局も担当の人員を増やしており、電話も多少繋がりやすくなっています。
ただ、問題点がすべてなくなったわけではありません。
今回は、雇用調整助成金の現状をお伝えしたいと思います。
簡素化が進む雇用調整助成金
この1ヶ月で、雇用調整助成金は何度も変更が加えられました。特にインパクトの大きかったのは、5月19日の変更です。ここで、概ね労働者数が20名以下の会社については、大幅に簡素化され、申請書も20名以下と20名超で分けられました。
20名以下の会社については、基本的に申請書以外の添付書類としては、
①比較した月の売り上げが分かる書類
②出勤簿又はタイムカート
③賃金台帳又は給与明細の控え
の3つだけで良くなりました。ネックになっていた休業協定書や計画書が必要なくなり、申請書自体も分かりやすくなったので、20名以下の会社についてはかなり申請がしやすくなったと言えます。
また、20名超の会社は、労働保険料の申告書や所得税の徴収高計算書を用いて単価計算を行う必要がありますが、20名以下の会社は実際に支払った休業手当の額から助成金額を算出できるようになり、非常に分かりやすくなりました。
20名超の会社については、実は、それほど大きな変更は加えられていませんが、それでも細かい点が多く変更されています。
まず、20名超の会社も計画届が不要になったことは大きいと思います。
また、年間の所定労働日数のカウント方法や休業手当の支払い率が複数ある場合の考え方、ベースとなる賃金総額の計算方法などが会社の状況に応じて選択できるようになり、計算がしやすくなったと言えます(このあたりは以前から問い合わせの多い項目でした)。
また、支給までのスピードも速くなってきています。
5/28時点で、累計の申請件数は65,153件でこのうち支給決定されたのは32,381件となっています。すでに半分近くが支給されていることになり、以前と比べればかなり支給が進んだことになります。
雇用調整助成金現状の問題点
大幅な簡素化が進み、確かに申請しやすくなった雇用調整助成金ですが、問題点が無くなったわけではありません。
問題点として、毎週のように変更が加えられ、申請書類も変更となるため、どこがどう変わったかが分かりにくく、申請する側もそれを受ける側も混乱している状況がうかがえます。
せっかく申請書類を準備していたのに、申請する前に変更が加わってしまい、一部を作成し直すということも起こっています。
なぜか、変更を小出しするので、どうして混乱が生じます。今後もまだ、上限額の変更や緊急対応期間の延長など変更が加えられると思いますので、変えるのであれば一度で行っていただきたいと思います。
次に、申請に関してですが、私共ではすで4月に休業した顧問先の分についてはすべて申請が完了しておりますが、日を追うごとに窓口が込み合ってきています。これはいろんな要因がありますが、簡素化が進んだことにより、今まであきらめていた方が申請をし始めたことがもちろん大きいですが、そもそも4月分の申請を給与計算が終わってから申請する会社が多いので、どうしても5月下旬から6月上旬に申請が集中し、込み合うことになります。
私共は5月の連休明けすぐに最初の申請を行いましたが、そのころは実は待ち時間はほとんどありませんでした。しかし、現在は、日によっては再び数時間待ちの状況が発生しています。
また、緊急事態宣言が解除され、直接窓口に申請しようとする方が増えたのも要因として挙げられます。
政府は、オンライン申請も用意しましたが、急遽用意したシステムのため5月19日から稼働のはずが、その翌日には不具合のため(個人情報漏洩)ストップし、現在(6/1)も再開していません。
たしか、持続化給付金のオンライン申請もストップはしていませんが、開設初日に一部のデータがロストしていたという報道がありました(経済産業省は認めていないようですが)。
オンライン申請が再開されてもしばらくは様子を見たほうが良さそうです。
あと、未だに、雇用保険の被保険者は「雇用調整助成金」、雇用保険の被保険者以外は「緊急雇用安定助成金」に分かれていて、正社員と被保険者以外のパートさん等がいる場合は、両方申請する必要があり、手間なのと事業主さんが混乱する一つの要因になています。財源等の問題で分ける必要があるのだと思いますが、せめて20人以下の会社向けはなんとか統一できなかったものかと思います。
まとめ
1ヶ月前と比べて明らかに申請しやすくなっているのは間違いありません。
以前の投稿で、雇用調整助成金の複雑さのために、申請を途中であきらめる事業主が多いと書きましたが、是非、一度あきらめた方も、もう一度、申請できないか検討して頂ければと思います。
私共も以前は、顧問先のみ対応していましたが、現在は、顧問先以外のご相談にも応じています。
是非、社会保険労務士等も活用して頂き、申請を行っていただければと思います。