人事労務部

パート・アルバイトの有給休暇の疑問を徹底解説!知っておきたい3つの重要ポイント

私どもの事務所へ日々寄せられるご相談・ご質問の中でも有給休暇に関するものは非常に多いです。その中でも、正社員に対する有給休暇ではなく、パートやアルバイトで働く方に対する有給休暇に関するご質問が特に多いと感じています。

パート・アルバイトの有給休暇は、そもそも必用なのか?全てのパート・アルバイトに有給はあるのか?あるとして何日の有給休暇があるのか?時給で働く人が有給休暇を取ったとき、給与にどう反映させればよいのか?などなどの疑問をもたれる方が多いようです。

そこで、今回は、パート・アルバイトで働く方はもちろん、パート・アルバイトを雇用している方にも分かりやすいように、パートあ・アルバイトの有給休暇について、くわしく解説していきたいと思います。

そもそもパート・アルバイトに有給休暇はあるのか?

そもそもパートやアルバイトで働く方に有給休暇はあるのでしょうか?答えは、「あります」です。
ただ、全ての、パートやアルバイトに対して有給休暇が与えられるわけではありません。具体的には、1週間の所定労働日数が1日以上又は1年間の所定労働日数が、「48日以上」の方に対して有給休暇が与えられます。分かりにくいですが、まずは、以下の表を見てください。


(出展:厚生労働省)

たぶん、初めて見た方は、この表をみてもいまいちピンとこないと思いますので、解説したいと思います。

例えば、今、毎週金曜日のみアルバイトしている方は、週1日の所定労働日となりますので、上記表の一番下の欄を見てください。すでに6ヶ月以上、その週1の勤務を続けているのであれば、「1日」の有給休暇がもらえることになります。すでに1年6ヶ以上、勤務している場合は「2日」の有給休暇がもらえることになります。

毎週決まった曜日に働くわけではないけど、だいたい月で4日~5日アルバイトしているという方は、例えば月4日でそれが1年間だと4日×12ヶ月で48日になるので、同じく上記表の一番下の欄の「1年間の所定労働日数」が「48日~72日」に該当するので、6ヶ月勤務すれば1日の有給休暇がもらえることになります。

ちなみに「パートでもアルバイトでも同じですか?」というご質問をたまに頂きますが、「パート」や「アルバイト」のいう呼び方は、各会社によってどういう人をパートと呼んで、どういう人をアルバイトと呼ぶかはまちまちです。つまり、これらの呼び方の定義に決まったものはありません。ですから、呼び方で決まるのではなく、あくまで週に何日働くか、あるいは年間で何日働くかによって、有給休暇の日数が変わってくることになります。

上記表では、週所定労働日数が4日からしか記載がありませんが、5日以上の方は、通常の有給休暇の日数が与えられます(つまり正社員の方と同じ日数)。また、4日以下でも週の所定労働時間が30時間以上の方についても、通常の有給休暇の日数が与えられます。通常の日数とは以下のとおりです。

(出展:厚生労働省)

この表は、よく見たことがあると思います。たとえパートであっても、週に5日以上働く方や週に30時間以上働く方は、6ヶ月勤務すれば「10日」の有給休暇がもらえることになります。

ただ、全ての場合において、8割以上の出勤が有給休暇発生の条件になっているので注意が必要です。この8割以上の出勤というのは、所定労働日の8割以上という意味です。
例えば、正社員の場合、入社から6ヶ月勤務後に10日の有給休暇がもらえますが、この6ヶ月間の間に、病気等をしてしまって、例えば2ヶ月丸々休んでしまったとしたら、8割以上の出勤にはならないので、有給休暇は、発生しなくなってしまいます(例えば1週間程度風邪で休んでも、それ以外はすべて出勤できてれば、8割以上の出勤は十分クリアできるので有給休暇は発生します)。

パート・アルバイトが有給休暇を使った場合、給与はどう計算するのか?

例えば正社員で月給30万円の方が、有給休暇を使った場合、単純に有給休暇を使った日は、通常どおり出勤したものと扱えばいいので、そのまま30万円を支給すれば良いだけなので、わかり易いのですが、パートやアルバイトなど時給で働く方の場合は、どのようにすれば良いのでしょうか?

どのような方法で支払うかですが、労働基準法では「平均賃金または所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない」と規定されています(もう一つ健康保険法の標準報酬月額を使用する方法もありますが、現実的ではないので割愛します)。
「平均賃金」と「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」のどちらを使うかは、会社の就業規則によって決めますが、パートやアルバイト場合、一般的には「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」を使う場合が多いと思います。
これは、どういうことかと言うと、例えば、もともと月曜日は5時間、水曜日は3時間、金曜日は4時間の勤務をするという雇用契約を結んでいた場合に、月曜日に有給休暇を取得したら、時給×5時間分の給与が貰えるということになります。同様に水曜日に有給を取得したら3時間分の給与ということになります。つまり、もともと予定していた所定労働時間分の時給がもらえるということになります。

有給休暇の買取(買い上げ)は許されるのか?

「有給休暇の買取」や「買い上げ」という言葉を聞いたことがある方もみえるかもしれませんが、会社がお金を出して、従業員が持っている有給休暇を買い取って、その買い取った分、有給休暇の日数を減らすという行為は、労働基準法上禁止されています。つまり、行えば違法ということになります。

ただ、全ての場合において、違法かというとそういうわけではなく、例えば、既に退職日が決定していて、その退職日まで、可能な限り有給を消化したが、それでも数日、余ってしまった場合に、その余った分を会社がお金を出して買い取ってあげるといったことは許されます(もちろん会社側に買い取る法律上の義務は無いので、買い取るか買い取らないかは会社側の自由です。買い取ったとしても会社側にはメリットはありませんので・・・)。
また、会社によっては、法律で定められた以上の日数の有給休暇を与えているところもありますが、その法定以上の有給休暇分については、買い取りは許されます。
例えば、正社員の方は、半年勤務後に法律上は10日の有給休暇を与えればよいのですが、15日与えているような会社については、この15日-10日の5日分については買い取りが許されます。
ただ、実例として、上記のような有給休暇の買取を行う会社は、極々稀だと思われます。よって、基本的には、有給休暇の買い取りは無いものだと思っておいたほうが良いです。

まとめ

パート・アルバイトの有給休暇について解説してきましたが、如何でしたでしょうか?
重要なことは、パートやアルバイトであっても、基本的に、週1回以上勤務で半年以上まじめに勤務すれば、どなたにも有給休暇は発生するということです。これは、会社の大小も関係ありませんし、労働者の方の年齢も関係ありません。

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