今回は、雇用保険の失業給付(失業保険)を受給する際、退職・離職理由によって、給付制限が付く場合がることは、ご存知の方も多いと思いますが、退職・離職理由によっては、給付制限が付かない場合もあります。実は、どういった場合に給付制限がついて、どういった場合に付かないのかを明確に理解している方は、少ないですし、ハローワークや厚生労働省のサイトをみても、はっきりとは載っていません。
例えば、解雇であれば給付制限が付かないことはわかるけど、退職勧奨に応じた場合はどうか、就業規則に違反するなどどして懲戒解雇になった場合はどうなのか?契約期間満了での離職だが、会社から更新してほしいといわれたのに拒否した場合はどうなるのか?など・・・
そこで、今回は、退職・離職理由別に給付制限がどうなるのかを分かりやすく解説したいと思います。
退職・離職理由別給付制限一覧
解雇
○会社の倒産や事業所の廃止、休止、又は人員整理等の会社都合による解雇の場合
給付制限期間:なし
離職区分:1A 離職理由コード:11 特定受給資格者に該当
基本手当受給に必要な被保険者期間:6ヶ月
○天災をはじめとして会社の責任ではないやむを得ない理由によって会社の継続が不可能になったことによる解雇の場合
給付制限期間:なし
離職区分:1A 離職理由コード:11 特定受給資格者に該当
基本手当受給に必要な被保険者期間:6ヶ月
○労働者側に問題があったために解雇された場合
例えば、法律違反を犯したため刑事罰、行政罰を受けたことによる解雇、会社の設備や器具を故意又は重大な過失により破壊等下ことにより解雇、労働者の言動によって会社の信用を失墜させ又は損害を与えたことによる解雇、就業規則等の重大な違反による解雇(軽微な違反は該当しない。横領・傷害など刑事案件や長期無断欠勤など)
給付制限期間:3ヶ月
離職区分:5E 離職理由コード:50又は55 特定受給資格者・特定理由離職者には該当しない
基本手当受給に必要な被保険者期間:12ヶ月
※基本的に自己都合退職と同じになります。
雇い止め・雇用契約期間満了
○雇用契約期間満了(契約更新があることの明示が無い場合、契約更新する場合があることの明示はあるが本人が更新を希望しない場合、契約更新する旨の明示はあるが本人が更新を希望しない場合)
簡単に言うと、最初から契約更新のない契約だったか、契約更新できたのに本人が更新を希望しなかった場合です。
給付制限期間:なし
離職区分:2D 離職理由コード:24 特定受給資格者・特定理由離職者には該当しない
基本手当受給に必要な被保険者期間:12ヶ月
※給付制限はありませんが、それ以外は基本的に自己都合退職と同じです。
○既に契約更新を1回以上していて、かつ、合計の契約期間が3年以上の場合で雇い止め通知がありの場合
簡単に言うと契約更新1回以上+合計の契約期間が3年以上だが最後の更新時にこの契約で最後である旨の明示があった場合です(本人は契約更新を希望している場合)。
給付制限期間:なし
離職区分:2A 離職理由コード:21 特定受給資格者に該当
基本手当受給に必要な被保険者期間:6ヶ月
※基本的に倒産等による解雇と同じになります。
○既に契約更新を1回以上していて、かつ、合計の契約期間が3年以上の場合で雇い止め通知がなしの場合
先ほどとの違いは、雇い止め通知がこちらは無かった場合です。ただ、結局のところ、雇い止め通知があってもなくても給付制限や給付日数等については変わりはありません。
給付制限期間:なし
離職区分:1A 離職理由コード:11 特定受給資格者に該当
基本手当受給に必要な被保険者期間:6ヶ月
○合計の契約期間が3年未満だが、次回も更新する旨の明示があったのに更新されなかった場合(本人も更新を希望)
給付制限期間:なし
離職区分:2B 離職理由コード:22 特定受給資格者に該当
基本手当受給に必要な被保険者期間:6ヶ月
○合計の契約期間が3年未満で、次回の更新については「更新する場合がある」と条件付になっていたが更新されなかった場合(本人は更新を希望)
給付制限期間:なし
離職区分:2C 離職理由コード:23 特定理由離職者に該当
基本手当受給に必要な被保険者期間:6ヶ月
退職勧奨等
会社からの退職するように勧奨をうけたことによる場合だけでなく、希望退職募集への応募(人員整理が目的で措置導入が離職前1年以内で募集期間3ヶ月以内のもの)も対象となります。
給付制限期間:なし
離職区分:3A 離職理由コード:31 特定受給資格者に該当
基本手当受給に必要な被保険者期間:6ヶ月
定年退職等
就業規則等で定められた定年年齢に達したことによる退職だけでなく、定年後再雇用されその雇用期限が到来した場合等も含みます。
給付制限期間:なし
離職区分:2E 離職理由コード:25 特定受給資格者・特定理由離職者には該当しない
基本手当受給に必要な被保険者期間:12ヶ月
※基本的に離職理由コード24の契約期間満了と同じになります。
自己都合退職
最も一般的な退職です。今の会社が嫌になったので辞めるとか転職するための退職、専業主婦になるために退職などです。
給付制限期間:3ヶ月
離職区分:4D 離職理由コード:40 特定受給資格者・特定理由離職者には該当しない
基本手当受給に必要な被保険者期間:12ヶ月
まとめ
上記に記載した離職理由での退職がほとんどだと思いますが、上記以外にも理由としては存在すると思います。もし「こんな場合はどうなの?」と思われる離職理由があれば、コメント欄にてご連絡ください。追加で掲載させて頂きます。