労働者派遣事業の許可申請では、事務所の広さや設備だけでなく、派遣労働者や登録希望者との面談を行う場所が、プライバシーに配慮した配置になっているかも重要な確認事項です。
特に、パーテーションで区切った面談コーナー、ガラス張りの会議室、事務所入口の近くに設けた面談席は、実際の見え方や動線によって問題になることがあります。愛知県での派遣許可申請を想定し、注意点を具体例とともに解説します。
先に押さえたい3つのポイント
① 面談中の様子や個人情報が、無関係の人から容易に見聞きできないことが重要です。
② 「高さ180cm」「個室でなければ不可」といった数字・形式だけで一律に判断せず、実際の目隠し効果と運用を確認します。
③ 賃貸契約や内装工事の前に、レイアウト図と現地の状況を整理して申請先に確認すると手戻りを減らせます。
派遣許可申請で面談スペースが確認される理由
派遣元事業主は、派遣労働者等の個人情報を適正に管理し、秘密を守るための措置を講じる必要があります。労働者派遣法第7条第1項第3号でも、個人情報の適正な管理と秘密保持のための措置が許可基準とされています。
面談では、氏名や連絡先、職歴、希望する就業条件など、他人に知られたくない情報を扱うことがあります。したがって、机と椅子があるだけではなく、第三者の視線・声・通行動線に配慮できているかを確認することが大切です。
なお、派遣事業所のおおむね20㎡以上という面積基準は、事業所全体についての基準です。面談スペースだけに20㎡を求める趣旨ではありません。
面談スペースは個室が必須? パーテーションでもよい?
独立した会議室や個室を面談場所にすれば、他の人の出入りや視線を遮りやすくなります。ただし、個室という名称が付いていれば必ず問題ないわけではありません。ガラス面や出入口の位置によっては、外から面談の様子が見えてしまうためです。
一方、パーテーションで面談コーナーを設ける方法も考えられます。その場合には、間仕切りの高さだけでなく、隙間・素材・入口の向き・周囲の通路などを合わせて確認します。
「パーテーション180cm以上」は全国一律の法定基準?
従来、当事務所の申請実務では、180cm程度以上の目隠しができるパーテーションを前提に検討・説明してきたケースがあります。しかし、「180cm以上であれば必ず許可される」「全国一律に180cm以上と法令で定められている」と断定するのは適切ではありません。
例えば、高さが十分でも透明な素材で面談の様子が見える場合や、出入口から室内が丸見えになる場合は、プライバシー対策として不十分となり得ます。必要な仕様は、申請先での具体的な確認を前提に検討してください。
ケース別:面談スペースで問題になりやすい配置
| 面談スペースの例 | 確認すべき点 | 主な対策 |
|---|---|---|
| ガラス張りの会議室 | 外から面談中の人や資料が見えないか | ブラインド、ロールスクリーン、目隠しフィルム等を検討 |
| パーテーションで囲った席 | 高さ・透け・入口からの見通し | 遮蔽性のある間仕切りと入口の位置を調整 |
| 事務所入口の正面の面談席 | 来訪者が入室した際に面談中の様子が見えないか | 席や入口の向きを変更し視線を遮る |
| カーテン等で仕切る席 | 使用時に確実に閉められ、必要な遮蔽性があるか | 固定方法・運用・遮蔽効果を事前に確認 |
| 他社との共用スペース | 他社の従業員や来客が立ち入らないか | 事業所の独立性・区画・動線を再検討 |
上の表は、許可の可否を一律に決めるものではありません。実際の事務所の構造と利用方法に応じて判断が必要です。
注意点① ガラス張りの会議室はどうする?
ガラス張りの会議室は、開放感があり設備としては整っていても、廊下や執務スペースから面談の様子や机上の書類が見えてしまう場合があります。
対策としては、ブラインド・ロールスクリーン・目隠しフィルムなどが考えられます。ただし、どの程度の範囲を覆う必要があるかは、外からの視線、出入口、利用する時間帯などによって異なります。
ガラス張りの会議室で確認すること
椅子に座った人の顔だけでなく、机上の申込書類などが外から見えないか、廊下側・入口側の両方から確認しましょう。
ロールスクリーンを設置する場合は、実際に下ろした状態での見え方と、面談時に確実に使用する運用を確認します。
注意点② パーテーションの高さだけで判断しない
パーテーションは、置き方によってプライバシー保護の効果が大きく変わります。例えば、周囲を高い間仕切りで囲んでいても、入口が通路に向かって大きく開いていると、中の様子が見えてしまいます。
反対に、入口を通路からずらすなど、配置を工夫することで視線を遮りやすくなる場合があります。「180cm以上のものを買えば大丈夫」と考えず、面談する2人が着席した状態と、来客が通る状態の両方で確認することが重要です。
注意点③ カーテンによる仕切りは認められる?
当事務所が過去に取り扱った申請では、面談中にカーテン等で周囲を遮る方法を用いて許可に至った事例がありました。ただし、これは個別事例であり、同じ方法なら現在も必ず認められるという意味ではありません。
カーテンは、素材によって透けることがあり、開閉を忘れると面談内容が見えてしまいます。固定状況や運用方法、遮蔽性を確認したうえで、採用前に申請先へ相談することをおすすめします。
面談スペースの広さ・机・椅子はどう考える?
面談スペース自体について、事業所全体の面積要件とは別に、全国共通の一律の最低面積を示す規定は確認できません。とはいえ、少なくとも担当者と面談者が無理なく着席し、書類の受け渡しなどを行える実用的な広さは必要です。
机と椅子を置いた結果、出入口がふさがれる、通行の妨げになる、面談内容が周囲に聞こえやすいといった配置は避けてください。面談スペースだけでなく、教育訓練を行う場所や施錠できる個人情報保管設備、他社との区画の独立性についても確認が必要です。
申請前に確認したいレイアウト・現地確認のポイント
面談スペースについては、図面上で問題がなさそうに見えても、実際には入口から見通せることがあります。間取り図に家具・間仕切り・出入口の位置を記入し、現地でも確認しておくと、申請前の整理がスムーズです。
- 面談席の場所を図面上に明示している
- 面談者・担当者の椅子と机の配置が分かる
- パーテーションやカーテン等の高さ・素材・配置を把握している
- 入口・通路・執務席から面談中の様子が見えないか確認している
- 面談内容を周囲の人が容易に聞き取れない環境を検討している
- 履歴書などの個人情報の保管設備と管理方法を確保している
- 他社と同じフロアを使用する場合、独立した区画と来訪者の動線を整理している
- 実際の設置方法について、必要に応じて愛知労働局へ事前確認できる状態にしている
契約・内装工事の前に確認を
事務所を借りた後で「面談場所が確保できない」「入口から内部が見えてしまう」と分かると、レイアウト変更や追加工事が必要になることがあります。事務所選びの段階で相談する方が、費用と時間を抑えやすくなります。
面談スペースについてよくある質問
Q.面談用の個室がないと派遣業許可は取得できませんか?
A.個室の有無だけで一律に判断されるものではありません。パーテーション等で面談時のプライバシーを確保できるかを、レイアウトや実際の状態に基づいて検討します。
Q.パーテーションが180cm以上なら必ず認められますか?
A.高さだけでは判断できません。素材が透明でないか、入口から内部が見えないか、第三者の通行動線がどうなっているかなどを確認する必要があります。
Q.ガラス張りの会議室を面談スペースにできますか?
A.目隠し等によってプライバシーを確保できるかがポイントです。ブラインド等を設ける方法が考えられますが、具体的な仕様は申請先の確認が必要です。
Q.事務所の20㎡とは、面談スペースだけの広さですか?
A.いいえ。20㎡という基準は、労働者派遣事業に使用する事務所全体の面積についてのものです。面談席だけに20㎡を確保するという意味ではありません。
Q.カーテンで仕切れば申請できますか?
A.過去の個別事例はありますが、現在の申請で認められるかは別途確認が必要です。透けやすさ、閉め忘れ防止、取り付け状況などの実効性を確認してください。
愛知県で派遣業許可を取得する際の事務所確認
派遣許可申請では、面談スペースだけでなく、事務所面積、他社との区画、個人情報管理、派遣元責任者の配置など、複数の要件をまとめて確認する必要があります。
当事務所では、愛知県内の労働者派遣事業許可申請について、申請前の事務所・面談スペースの確認からサポートしています。実際のレイアウトが決まる前の段階でも、お気軽にご相談ください。
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参考資料:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」(令和8年10月1日適用版)。具体的なレイアウト審査の取扱いは、申請先で確認してください。