1ヶ月間に入社→退社→入社を繰り返した場合、保険料は2重にとられる?

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最近は、超売り手市場なので、転職を繰り返して、より条件の良い会社に入りたいと考える方も多いと思います。いろんな会社を見ていく中で、一旦入社したけど、どうも思っていたのと違うと思い、すぐに辞めてしまい、そして、またすぐ違う会社に入社するという方もみえると思います。

その際に気になるのが、社会保険料の取り扱いです。1ヶ月の間に、入社→退社→入社と繰り返した場合、最初の会社と次の会社で社会保険料は、両方取られてしまうのでしょうか?つまり二重払いしなければならないのでしょうか?この点について、専門家である現役の社会保険労務士が詳しく解説したいと思います。

 

 

まずは基本的な社会保険料の控除のしくみを知ろう!

給与計算をされる際の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料のこと)の基本的な控除のしくみからまず解説したいと思います。

例をあげてご説明します。

○給与の締日が末日でその翌月15日払いの会社で、10月1日に入社した場合

この場合、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は10月分からかかるので、翌月の11月15日支払いの最初の給料から10月分の社会保険料が控除されます。

○上記と同様の会社に10月16日に入社した場合

この場合も先ほどと同じ10月分の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)からかかりますので、11月15日支払いの給料から10月分の社会保険料が控除されます。ちなみに社会保険料には「日割計算」という考え方は無いので、たとえ月の途中で入社しても1ヶ月分の社会保険料がかかります。

○給与の締日が20日でその月の末日が給与支給日の会社で10月1日に入社した場合

この場合、10月分の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)からかかりますが、最初の給料(10月31日支給分)からは原則として、社会保険料は控除されず、次の11月末日に支給される給料から10月分の社会保険料が控除されることになります。これは、原則として、社会保険料は「翌月控除」を原則としているためです。ただ、あくまで原則なので、会社によっては最初の10月31日支給の給料から10月分の社会保険料を控除する場合もあります(当月控除)。ただ、こういった会社は、次のような場合に最初の給料で2ヶ月分の社会保険料を控除しなくてはならなくなるので、少数派だと思います。

○上記と同じ会社で9月21日に入社した場合

この場合、9月分の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)からかかることになるので、最初の給料(10月31日支給分)から社会保険料が控除されることになります。先ほどもも述べたように翌月控除が基本ですが、当月控除をしている会社の場合は、9月分の社会保険料と10月分の保険料の2ヶ月分を最初の給料(10月31日支給分)で控除する必要がでてきます。

1ヶ月の間に入社→退社→入社を繰り返した場合、社会保険料はどうなるか?

では、1ヶ月の間に入社→退社→入社を繰り返した場合は、社会保険料はどうなるでしょうか?今回も具体例をあげてご説明します。

<例>
A社 給与は月末締、翌月15日払い
B社 給与は月末締、翌月20日払い

Cさんは、A社に10月1日入社し、10月20日退職、そして、10月23日にB社へ入社したとします。

まず、A社の社会保険料ですが、同じ月の中で入社と退社を行った場合は、「同月得喪」といって、その期間がどんなに短くても1ヶ月分の社会保険料がかかる仕組みになっています。そのため、A社では10月分の保険料を負担する必要があり、原則として、健康保険料も厚生年金保険料もA社の給料(11月15日支払いの給料)から1ヶ月分控除されることになります。

では、B社ではどうでしょうか、B社には10月23日に入社していますので、実はB社でも、10月分の社会保険料がかかり、B社での最初の給料(11月20日払いの給料)からも社会保険料が控除されることになります。

つまり10月分の社会保険料については二重払いになるということになります。完全な無駄な支払いになりますので、できる限り1ヶ月内での入社と退社を繰り返すことは避けたほうが良いです。

ただ、社会保険料は健康保険料と厚生年金保険料に分けられますが、健康保険料については、現在でも上記の取り扱いで間違いはありませんが、厚生年金保険料については現在、取り扱いが変わっています。

平成27年10月1日以降は、厚生年金保険料のみ還付される!

平成27年9月30日までは、上記のケースの場合、健康保険料も厚生年金保険料も二重払いする必要がありました。

しかし、平成27年10月1日以降は、厚生年金保険法の改正により、厚生年金保険料のみ返還が可能になりました。

厚生年金封建法 第19条の第二項が以下のように規定しています。

「被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1箇月として被保険者期間に算入する。 ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法第7条第1項第2号に規定する第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。」

難しい言い回しですが、要するに、1ヶ月の間に入社と退社をし、さらにその後、他の会社に入社した場合か、入社しなくても国民年金の加入手続きを行った場合には、最初の会社で控除した厚生年金保険料はかかりませんよと言っています。

ただ、重要なのは、最初の会社で入社と退社をし、その後、同じ月で他社に入社するか国民年金の加入手続きをとっている必要があるということです。これらをしなければ、最初の会社でかかった厚生年金保険料は還付されません。

例に挙げたようなケースが起きた場合は、最初の会社を管轄する年金事務所から会社のほうへ通知が届き、その通知書に同封されている「還付請求書」を提出することによって、まずは会社のほうへ厚生年金保険料が還付されます。重要なのは、年金事務所が自動で計算して、還付してくれるわけではなく、会社が手続きを行わない限り、還付してもらえない点です。

そして、もう一つ重要なのは、上記の手続きによって会社には厚生年金保険料が被保険者負担分(労働者が負担する分)も含めて還付されるのですが、そこから、本来、会社は被保険者負担分を退職者に返金してあげないといけないのですが、これをやってくれるかどうかは会社次第です(本来、「しなければならない」のですが、おそらくしない会社もあると思います)。よって、返金してもらえない場合には、退職者は自分で会社に連絡して、返金を求めるようにする必要がでてきます。 

まとめ

如何でしたでしょうか?ご説明したように、1ヶ月の間に入退社を繰り返すと、少なくとも健康保険料については、「二重払い」になってしまいます。厚生年金保険料についても現在は二重払いにはなっていませんが、面倒な手続きをふまないといけないことになります。

もちろん、どうしても同じ月内で入退社を繰りかえさなけらばならな状況になってしまうこともあるでしょううが、回避できるのであば回避したほうが良いですね。

 

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