日給月給制の本当の意味とは?
給与には、「完全月給制」「日給月給制」「月給日給制」「日給制」など様々な呼び方が存在します。おそらくもっとも多いのが「日給月給制」ですが、他の呼び方との違いがよくわからないという方が多いです。そこで、今回は、これら給与の呼称について解説したいと思います。
給与の呼称に法的な取り決めはない
労働基準法を含めその他の法律においても、日給月給制や月給日給制、完全月給制などの定義は定められていません。つまり、これらは法律用語ではありません。
よって、極端なことを言えば、それぞれの会社が「日給月給制はこういう制度です」と取り決めてしまえば、その会社では、それがどんな制度であろうと日給月給制になります。
実際、会社ごとに日給月給制の内容は、それぞれ少し違う場合があります。決まりはないので、何が間違っているというわけでもありません。
ただ、そうは言ってもごく一般的に使われている意味はどういうものなのかを紹介したいと思います。
日給月給制とは?
中小企業では最も採用している会社が多いであろう「日給月給制」について解説したいと思います。
日給月給制は、月額の基本給や手当が決まっているが、欠勤したらその日数分を、遅刻早退をしたらその時間数分を給与から控除する制度です。
よって、もし欠勤や遅刻早退がなければ基本的には、毎月同じ給与額が支給される制度です(残業代や歩合給は除く)。
ただ、例えば1日欠勤した場合に、控除する額(日額)の計算方法については各会社によってかなり差があります。日額を「給与/その月の所定労働日数」の会社もあれば「給与/月平均所定労働日数」で計算する会社もあります。これらは、就業規則等で規定されているはずです。
上記で説明したように、日給月給制という呼称の定義はないので、この日給月給制を単に「月給制」と呼ぶ会社もあるので注意してください。
また、ごく稀ですが、給与が日額で決まっていて、それを毎月1回まとめて支払うものを日給月給制と呼ぶ会社もあるので正直、ややこしくなります。
月給日給制とは?
上記で解説した「日給月給制」と混同しやすいものに「月給日給制」というものがあります。基本的には「日給月給制」と似ているのですが、日給月給制は、基本給も手当も欠勤や遅刻早退をした場合に、控除の対象になりますが、この月給日給制の場合は、例えば役職手当や家族手当などその役職や家族構成によってあらかじめ金額が決まっているものについては控除の対象にならないものを言います。
しかし、何回も書いているように決まりはないので、この月給日給制のことを日給月給制と呼ぶ会社もありますし、単に月給制とよぶ会社もあります。
完全月給制とは?
比較的大企業に多いのが完全月給制です。これは、上記2つの制度とは違い、欠勤や遅刻早退をしても欠勤控除されず、全額が支給される制度です。
ただし、会社によっては、例えば病気などで月の全部を休んだ場合は支給しないとか、出勤日数が半分以下だと欠勤控除するとか、休職に入るまでは全額支給するなど様々です。こちらも単に月給制と呼ぶ会社もあります。
日給制・時給制とは、
日給制や時間給制は、単に、金額が、「1日」によって決まっているか、「1時間」によって決まっているかを意味します。
1日ごとに支払いがあることを日給制と呼ぶ場合もありますが、それだと時給は1時間ごとに支払うことになりますので、日払いなのか月払いなのかではなく、ベースとなる金額が1日単位なのか1時間単位なのかを意味しているのがこれらです。
まとめ
上記で解説した解釈が一般的ですが、何度も言うように会社によってどういう意味で使用しているかは、本当に様々です。よって、重要なことは、例えば、面接のときにうちは「月給制だよ」と言われた場合は、それがどういう意味での「月給制」なのかをよく確認したほうが良いと思います。欠勤控除されない会社(完全月給制)だと思っていたのに、実際は欠勤控除されたという事例は多いです。そうならないためにも、可能であれば確認されることをお勧めします。それを訊いたからといって、合否に影響はないと思います。もし影響するような会社ならむしろ止めておいたほうが正解です。