一度出した退職願(退職届)の撤回は可能か?

最近は、近年まれにみる人手不足の影響で、転職を考える方も多いようです。ただ、転職したからと言って必ずしも、次の条件が全て良いとは限りません。退職願(退職届)を出す際は、よく考えて提出する必要がありますが、退職願(退職届)を提出してから、実際に退職するまでは1ヶ月程度かかるのが一般的です。では、例えばその間に、転職先のあまり良くない情報が判明し、退職を撤回したいと考えた場合に、退職願等の撤回は可能なのでしょうか?今回はこのあたりを解説したいと思います。

  

まずは就業規則の確認を

退職に関する手続きや内容については、その会社の就業規則に必ず記載があります(退職に関する事項は、就業規則の絶対的記載事項であるため)。そのため、まずは、就業規則を確認することが先決です。

では、一般的な就業規則の退職の項目を見てみましょう。

(退職)
第〇〇条
1. 前条に定めるもののほか、労働者が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
①退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して30日を経過した とき
② 期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
③ 第〇条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
④ 死亡したとき
2.労働者が退職し、又は解雇された場合、その請求に基づき、使用期間、業務の種類、 地位、賃金又は退職の事由を記載した証明書を遅滞なく交付する。

このような感じになっていると思います。転職等で退職する場合は、自己都合退職になりますので、退職手続としては上記の①が該当します。

つまり、この場合、労働者側が退職願を提出し、会社側が承認した場合は、その段階で合意が成立し、もはや退職願の撤回は難しくなります。比較的大きな会社等で、退職願を提出してから、最終決裁者が決済を下すまでにタイムラグがある場合は、その最終決裁者が決済するまでは退職届を撤回する余地はありますが、それらは会社の内規等にもよるので、必ずしも撤回が認められるわけではありません(例えば、人事部に退職願が到達したら会社は合意したとみなす場合もあります)。
また、逆に中小企業などで、退職願を直接、社長に提出する場合もあるかと思いますが、その場合は、社長がその場で受領し合意したのであれば、その段階で撤回は難しくなります。
とは言え、例えば、合意に至った後で、労働者が撤回を希望し、会社もそれを認めた場合は、もちろん退職は取り消され、そのまま勤務が可能です。

基本的には撤回は難しい

ここまで退職の手続き関係を見てきましたが、お分かりの通り、退職願を提出し、会社が合意したら退職願を撤回することはできません。どの時点で会社が合意したかは、それぞれの会社で異なるでしょうから、例えば比較的大きな会社で、退職願を提出したその日に撤回したのであれば、撤回が認められる可能性は高くなりますが、それ以外だと、なかなか難しいのが現状ではないでしょうか。

まとめ

転職される方は今後も増えていくでしょうし、転職でなくても親の介護や病気等で退職を考えられる方も多いと思います。
退職願を提出する際は、基本的には撤回ができないと考えて、覚悟を持って提出する必要があります。
どうしても撤回したい場合は、その理由を会社側に説明し、認めてもらう努力をする必要があります。

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