仕事帰りに飲食した後の事故は通勤災害になるか?
今回は、労災保険の中の通勤災害についてです。通勤途中で事故等にあった場合は労災保険から給付が出るわけですが、通勤途中であっても通勤災害として認められない場合がありますので、このあたりを解説したいと思います。
どういう場合に通勤災害として認められるか?
通勤途中で事故にあったり、転倒したりした場合は、通勤災害として、労災保険から給付がでる可能性がありますが、この通勤災害として認められるためには、会社(就業場所)と住居との間を、「合理的な経路と方法で往復」した場合であることが必要です。
通勤経路を大きく逸脱したり、通勤と関係のない行為を行った場合には、その程度にもよりますが、その後の通勤に関しては通勤災害として認められない可能性がでてきます。
ただ、通勤途中に行う通勤とは関係のない全ての行為が否定されるわけではありません。通勤の途中で行われる日常生活上必要でやむを得ない最小程度の行為については、特例として、地通勤経路に戻ってからの事故等については、認められるとしています。ただし、日常生活上必要な行為の最中は認められません。
では、通勤途中で行う日常生活上必要な行為とは、どういうものかというと、例えば、仕事帰りにコンビニやドラッグストアーに寄って、日用品を購入したり、選挙のために、投票所に寄る行為等は、日常生活上必要な行為として認められますので、それらを理由として、通勤経路を逸脱したとしても、戻った後に起こった事故等は通勤災害として認められます。
飲食をした場合はどうなるのか?
では、通勤途中で飲食した場合は、どうでしょうか。
基本的には、通勤経路を逸脱したとして、飲食後に通勤経路に戻ったとしても、その後に起こった事故等は通勤災害としては認められません。
ただし、通勤途中で通常行う、ごく些細な飲食等の場合は認められるケースもあるので、このあたりが分かりにくいところです。
些細な飲食とはどういうものでしょうか。
例えば、通勤経路にある牛丼屋やラーメン屋等によって短時間の飲食をする場合などは、些細な飲食と言えると思いますが、何人かで居酒屋等で数時間に渡って飲食した場合などは、当然、些細な飲食とは言えません。
このあたりの明確な基準は、定められておらず、過去には、喫茶店でコーヒーのみの飲食でしたが、40分程度雑談した場合は、認められなかったというケースもあるようです。ですので、些細な飲食とは、15分から20分程度、長くても30分以内程度のものを想定しておいたほうが良さそうです。
労働者の方の中には、たまに勘違いされている方が見えるのですが、通勤災害に該当するかどうかを決めるのは、会社ではありません。該当するかどうかの判断は、労働局や労働基準監督署が行います。よって、仮に認められなくても、そのことについて会社を責めることはできませんので注意が必要です。
まとめ
通勤災害と認められれば、治療費等は全額、労災保険からでますので、労働者の方の負担は軽減されます。ですので、通勤災害が発生した場合は、当然、労災保険へ申請をすべきです。申請は、会社を通して行います。
ただ、先にも書いたように、申請したからと言って、必ず認められるわけではありません。通勤経路を逸脱したり、中断した場合には、その後は認められない場合もあることを理解しておきましょう。