育児休業給付の延長手続き
今回は、雇用保険から給付される育児休業給付の延長手続きについて解説したいと思います。育児休業給付の手続きは基本的に勤務先の会社がやってくれます。でも、延長したい旨を会社に伝えなければいけませんし、添付資料も育児休業を取得している方が準備しなければなりません。
今回の記事は、会社の事務担当者向けにはなりますが、現在、育児休業を取得し、育児休業給付を受給している方にも役立つ情報となりますので、一度、読んでいただくことをお勧めします。
原則的な育児休業給付は、子供が1歳になるまでだが・・・
育児・介護休業法において、労働者の方は、原則として子供が1歳になるまでの間は、育児休業を取得することができます。会社は、原則としてこれを拒否することはできません。
産前産後休業の後に、育児休業を取得することになるのですが、この育児・介護休業法に基づく、育児休業を取得している間は、雇用保険から「育児休業給付」を受給することができます(ただし、雇用保険被保険者のみ)。
育児休業給付の詳しい説明は、過去に「育児休業給付金の計算と3つの条件、申請方法(記入例付き)、いつまで?」で解説していますので、そちらをご覧ください。
さて、原則は、子供が1歳になるまでですが、子供が1歳になる時点で、保育所への入所希望を出しているが、定員がいっぱいで入所できない等の理由がある場合には、1歳6ヶ月まで延長ができ、さらに子供が1歳6ヶ月になった時点で、同様に保育所への入所ができない場合は、さらに2歳までの延長申請が可能です。
ただ、実は、このことを知らない、事務担当者の方が結構みえます。
会社側に知識がある場合は、1歳に到達する前に、「そろそろお子さんが1歳になりますが、育児休業を延長しますか?」と聞いてきてくれるはずです。
会社側からなにもアクションが無い場合は、延長手続きについて知らない場合もあるので、必ず、労働者側から会社に育児休業給付の延長をお願いしたい旨を伝えましょう。申請には期限がありますので、何もしないと期限が来てしまい、受給できなくなってしまいます。
育児休業給付の延長手続き
育児休業を延長するケースというのは、以下の場合がほとんどだと思います。
〇保育所(※)に入所の申し込みを行っているが、子の1歳の誕生日以後の期間について、当面入所できない旨通知された場合。
※保育所には無認可保育施設は含まれないため、自治体に対して保育の申し込みを行っているが入所できない場合に限ります。
1歳6ヶ月まで育児休業の延長を希望し、育児休業給付を引き続き受給したい場合は、自治体が発行する「保育所入所保留通知書」を添付して申請する必要があります(名称は自治体によって異なります)。
また、自治体に対して、1歳になる前に保育所への入所の申し込みを行っている必要があるので、この点も注意してください(1歳になってから申し込みをしてもダメ)。
あと、昨今は、育児休業給付の延長を行いたいがために、わざと、入所保留通知書を受けられるようにして、延長するケースが見られます。
いろいろなケースがありますが、例えば、1度、保育所への入所許可が下りたにもかかわらず、自らこれを辞退し、再び、入所申し込みをして、次は保育所入所保留通知書を受け取るいといったケースがあります。
この場合は、最初に辞退したときに、正当な理由がなければ、育児休業給付の延長が認められなくなります。
くれぐれも、給付の延長だけを目的として、いろいろと策を講じるのは止めましょう(これらは、制度の趣旨に反します)。
適正に「入所保留通知書」を受け取った場合は、育児休業給付の延長手続きを行います。
この延長手続き自体は難しいものでありません。1歳までの育児休業給付の最後の申請書に「18支給対象となる期間の延長事由-期間」という欄があるので、ここに延長事由と、子供が1歳6ヶ月になる応当日を記載し、添付書類に「入所保留通知書」を添付して申請すればよいだけです。
なお、当然ですが、延長期間中に保育所への入所が可能となった場合は、入所日の前日までが受給可能期間となります。
まとめ
今回は、育児休業給付の延長手続きについて解説しました。ちなみに、上記では1歳6ヶ月までの延長で解説しましたが、1歳6ヶ月から2歳までの延長も同様の手続きをとることになります。
1歳から2歳へ一気に延長させることはできないので注意してください。2歳まで延長するときは必ず2回延長手続きを行うことになります。