孫を健康保険の扶養に入れることはできるか?

今回も顧問先からのご相談があった内容についてご紹介したいと思います。

今回のご相談は、従業員の方の娘が離婚して、実家に戻ってきたが、その娘の子供、つまり孫も一緒に実家で住むことになったので、娘と孫の両方を健康保険の扶養に入れることは可能か?

というものでした。一見、この娘と孫を扶養に入れることに全く問題ないと思う方もいるかもしれませんが、注意しないといけない点もありますので、解説したいと思います。

  

そもそも孫を扶養に入れることは可能か?

3親等以内であれば基本的には入れる

そもそも、孫を扶養に入れることは可能かということですが、孫だからダメということはありません。健康保険の扶養には、3親等以内の親族であれば、入ることは可能なので、2親等の親族である孫は問題ありません、3親等まで可能なので、孫だけではなく、ひ孫でも一応は可能です。

ただし、被保険者の直系尊属、子、孫、兄弟姉妹以外の3親等以内の親族については、同居が条件となるのでその場合は注意が必要です。

今回の娘と孫は、必ずしも同居を必要としない親族となりますが、本当に被保険者が生計を維持しているかを証明する必要があるため、事実上、別居の場合は、扶養に入れることはかなり難しくなります(この数年で、このあたりはかなり厳しくなりました)。

娘(子供)の収入を確認

さて、今回は、同居しているので、それほど難しくはないのですが、実は、この娘さん(孫の母親)が、現在は、パートとして働いています。まず、娘さんを扶養に入れるためには、娘さんのパートの収入が130万円未満である必要があります。

今回のケースでは、ぎりぎりですが、130万円を下回っていました。しかし、この収入では従業員(被保険者)の税務上の扶養にはなれないので、別途、収入を証明するものを添付する必要があります。今回のケースで言えば、この娘さんは、まだパートを始めて数ヶ月のため、源泉徴収票も所得証明も取れないので、給与明細か労働契約書を添付することになります。今回は、労働契約書で対応しましたが、添付書類として何が求められるかは、各年金事務所等によって異なる場合がありますので、注意してください(今回は住民票も添付しています)。

扶養認定されるかはケースバイケース

今回は、上記のような添付書類で無事、扶養認定されましたが、実際の手続きでは、様々なケースが考えられますし、残念ながら都道府県ごと(年金事務所ごと)によって、微妙に対応が異なる場合が多いです。

例えば、今回のケースで、娘さんのパート収入が仮に130万円を超えていた場合に、娘さんの扶養認定は取れませんが、孫だけは扶養認定できるのかなどを考えると少し難しくなります。その都度、実態を把握しながら、対応を考えていかなくてはなりません(このケースだとおそらくは難しいと思いますが、扶養実態によっては認められるかもしれません。正直、申請してみないとわかりません)。

問題なく扶養認定されるだろうと考えていたケースで否認されることもありますし、無理だろうと考えていたケースでも扶養認定されるケースもあります。私は、もう20年くらいこの仕事をしていますが、いまだにこういったことは起こります。

ですので、扶養認定されるかどうか微妙な場合でも、専門家等に相談したうえで、申請されることをお勧めします。

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