月の途中で昇給した場合の月額変更届

今回は、少し実務的なお話になりますので、一般の労働者向けというよりは、総務部や人事部で社会保険のご担当者向けとなります。
今回も顧問先からのご相談内容になります。相談内容は以下の通りです。
「今回、イレギュラーですが、社会保険加入の時間給者に対し、月の途中から時間給を変更することになりました。社会保険の月額変更届は、昇給があった月の給与から3ヶ月分の平均をとって2等級以上となった場合に必要となりますが、今回の場合、3ヶ月の最初の月は、昇給があった月でよろしいのでしょうか?」
というものでした。一般的に昇給が行われる場合、給与計算の期間の初日から昇給するケースが多いと思いますが、月の途中(給与計算期間の途中)で昇給する場合は、その昇給があった月から3ヶ月なのか、その翌月からなのかで迷うケースが多いようです。

一般的な認識では、この顧問先の方がおっしゃるように「昇給があった月から3ヶ月」となっているので、原則通り月の途中であっても昇給月から3ヶ月と考えてしまいそうですが、間違いです。以下で解説します。

  

月額変更届について簡単におさらい

月額変更届(随時改定)の仕組み

社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している方の基本給、役職手当、住宅手当等の毎月固定的に支払われる賃金が変更になり、その結果、給与額が大幅に変更になった場合に、社会保険料を変更させるために行う手続きになります。
月額変更届を行う際には、以下の3つの条件を満たしている必要があります。
①給与のうち固定的賃金に変動がある。
②変動した月から3ヶ月間に支払われた給与総額の月平均額が現在の標準報酬月額と比べて2等級以上、上昇または下降している。
③3ヶ月とも賃金支払基礎日数が17日以上ある(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)

ポイントとしては、固定的賃金の変動が必要なので、単純に残業代がたまたま多くなって2等級の差がついても届出の必要はありません。また、昇給した場合の月額変更届は、必ず給与総額が2等級以上上昇した場合のみとなります。まれに、固定的賃金は上昇したが、残業代の影響で給与総額は2等級下がったというケースがありますが、この場合は届出の必要はありません(逆のケースも同様)。

月の途中で昇給した場合

では、本題です。月の途中での昇給の場合は、どうなるのでしょうか?
この疑問が生じる背景には、日本年金機構のホームページや発行するリーフレットの中で月額変更届の要件について以下のような表現をしているためだと思われます。

「変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた」

なぜ、もう少し詳しく記入してくれなかったのかと思いますが、上記だけを見ると「変動月から3ヶ月間」となっているので、普通に読み解けば、どんな場合でも変動を行った月の給与を含めて3ヶ月間と考えると思います。

もちろん、計算期間の初日なら問題ないのですが、今回のケースのように計算期間の途中での昇格の場合は、実は、昇給した月については「含めず」その翌月を初月として3ヶ月間の平均を見ることになります。

このことについては、日本年金機構が出している「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」で触れています。

この事例集によると
「昇給・降給した給与が実績として1ヶ月分確保された月を固定的賃金変動が報酬に反映された月として扱い、それ以後3ヶ月間に受けた報酬を計算の基礎として随時改定の判断を行う」

としています。つまり、「1ヶ月分確保」となっているので、昇給後にまるまる1ヶ月間昇給後の給与が支払われた月からカウントするということになります。

そのため、月の途中で昇給した場合は、その中途半端な月は含めず、その翌月からカウントするということになります。

正直、細かくて、わかりにくい部分ではありますが、ミスしないように、注意してください。

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