親を扶養に入れる場合の税金(扶養控除)の注意点
今回は、親を税の扶養に入れたいと考えたときに、注意する点を解説していきたいと思います。親の扶養は、子供や配偶者を扶養にする場合と違って、少し複雑になります。親に収入がある場合、その収入が年金のみなのか、パートなどで働いていて給与ももらっているのか、同居しているのか、別居しているのかなどでも変わってきます。そういったことを詳しく解説していきたいと思います。
親を税の扶養に入れる(扶養控除の対象にする)条件等
親でももちろん、一定に要件に該当すれば、税務上の扶養に入れる(扶養控除の対象にする)ことができます。その要件を見ていきたいと思います。
親を税の扶養に入れるためには2つの要件があります。
親と「生計」を同じにしているか?
まず、その親と「生計」を同じにしている必要があります。生計を同じにしているかと言われてもなかなか難しいと思いますが、まず、一緒に暮らしていて、生活費をそれぞれ出しているか、又は、親ではなく本人が主に生活費を出していれば、生計を同じにしていることになります。
では、別居している場合は、どうでしょうか?
別居している場合で、一切、親への援助等をしていない場合は「生計を同じにしている」とは言えません。一方、親の生活費の多く仕送りしている場合は、別居していても生計を同じにしていると言えます。税務上の扶養の場合は、「いくら以上仕送りする必要がある」など明確な基準があるわけではないので、一般的に、生活費の補填をしていると判断されればOKです。また、基本的には、その事実を何か書類等で証明する必要はありません(場合によっては、勤めている会社から証明を求められることはあります)。
兄弟で親に仕送りをしている場合はどうなるか?
例えば、別居している母親に対し、兄と弟でほぼ同金額を仕送りしている場合は、兄と弟のどちらか1人だけが扶養控除の対象とすることができます。これは兄弟で話し合ってどちらかに決めていただければ結構です。両方が扶養控除の対象とすることはできないので注意してください。
親の所得が380,000円以下になっているか?
もう一つの要件は、親の所得が380,000円以下になっているかどうかです。この380,000円は「所得」であって「収入」ではありません。
例をあげてご説明します。
まず、親の収入が年金のみの場合でご説明します。
仮に親の年齢が62歳で、公的年金の額が年額100万円あったと仮定します。この方の収入は100万円ですが、ここから「所得」を計算すると100万円-70万円=30万円となり、この方の所得は30万円となります。
なぜ70万円を引くかというと、これは公的年金等控除と言って、国が認めた必要経費のようなものお考え下さい。ですから実際、100万円もらっているけど、そのうち70万円は必要経費だから、そこから差し引いて、あなたの所得は30万円としますということです。
この方の所得は30万円で先ほどの38万円以下なので、扶養に入れることになります。
ちなみに、この公的年金控除はその親の年齢によってかわります、65歳未満は70万円ですが、65歳以上の場合は120万円になります。たとえば、68歳の親で年金収入が130万円ある場合、この親の所得は、130万円-120万円=10万円となります。
さらに公的年金等控除の額は、年金収入によってさらに細かく分かれています。詳しくは下記の表をご覧ください
また、ここで言う年金収入というのは、老齢年金のみになります。遺族年金はもともと非課税なので、遺族年金のみを貰っている場合は、その方の所得は0になります。
次に年金収入に加え、パートなど給与収入がある場合について解説します。
給与収入には、給与所得控除として65万円(給与額によって変動します)が認められています。例えば、年間80万円の給与収入がある場合、80万円-65万円=15万円が所得となります。
仮に、65歳未満で年金収入が90万円、給与収入が80万円だとするとして、所得を計算すると
・年金収入 90万円-70万円(公的年金等控除)=20万円
・給与収入 80万円-65万円(給与所得控除)=15万円
所得=20万円+15万円=35万円となります。
この方の場合も所得が38万円以下になりますので、扶養に入れることがでできることになります。
まとめ
今回は、親を税の扶養に入れる場合の注意点をご紹介しました。次回は、健康保険の扶養に入れる際の注意点を解説したいと思います。
“親を扶養に入れる場合の税金(扶養控除)の注意点” に対して2件のコメントがあります。