他社の社長を従業員として雇用した場合、雇用保険はどうなる?

今回も顧問先からのご相談内容をご紹介したいと思います。
雇用保険のご相談でしたが、最初は、何も気にせずお答えしたのですが、よく考えたら、一つの疑問が出てきたので、念のため、ハローワークにも確認を取ることになりました。専門家でも回答に迷うご相談内容でしたのでご紹介したいと思います。

  

雇用保険の加入要件を確認

念のためまずは、雇用保険への加入要件を確認します。大きな要件は以下の2つです。
①1週間の所定労働時間が20時間以上
②31日以上の雇用見込みがあること
また、その会社の代表取締役を含め役員は、原則として雇用保険へは加入できません(一部の従業員としての身分も有する役員は、従業員部分では加入が可能)。

他社の社長を雇用した場合雇用保険はどうなるか?

今回のご相談の内容は以下の内容です。
「今回、他社で代表取締役をやられている方を、週25時間程度の勤務時間で雇用することになりました。社会保険は自分の会社で加入しているようですが、雇用保険はこちらで加入させる必要があるのでしょうか?必要ないように思うのですが・・・」
というものでした。
ご相談者が思われたように、確かに、一見、他社で代表取締役として働いているのだから、雇用保険に加入させなくても良いように思います。
以前の記事「アルバイトの雇用保険加入を徹底解説」でも解説しましたが、基本的に副業としてのアルバイトの場合は、本業の会社で雇用保険に加入している場合は、アルバイトの会社では雇用保険に加入できないからです。
そのため、今回の場合もご相談者の会社では副業として勤務し、本業は別にあるため、雇用保険に加入しなくても良いと考えても不思議ではありません。

今回の場合は雇用保険に加入させる必要があるが・・・

結論を言うと、今回は、この方をご相談者の会社で雇用保険に加入させる必要があります。本業と副業のWワークで副業のほうの雇用保険加入を行わないのは、あくまで本業のほうで雇用保険に加入していることが条件です。
そのため、今回は、副業であっても本業のほうで雇用保険に加入していないので、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある以上、雇用保険には加入させる必要があるのです。

しかし、ここで一つの疑問が出てきます。それは、
「雇用保険に加入するということは、ここの会社を辞めたら失業給付は貰えるのか?」
ということです。わざわざ保険料も納めるわけですから、貰えないと不公平にも感じます。
しかし、この場合は、基本的には貰えません。失業給付は、あくまで「失業状態」にある方に給付されるものです。この方は、たとえこのご相談者の会社を辞めても自分の会社で働き、そこから給与を得ているので失業状態とは言えません。そのため、失業給付は受給できません。
ただし、例えば、代表取締役ではあるが、実際にはほとんど働いていなく、かつ、給与も得てない場合は、受給できる可能性がないわけではありません。

まとめ

今回のケースでは、雇用保険に加入させる必要があることは解説した通りです。雇用保険に加入させるべきなのか、そうではないのかは、上記のほかにも迷うケースというのはいくつかあります。
その場合は、自己判断せず、必ず、管轄のハローワークに確認するようにしてください。

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