日本は本当に人材不足なのか?

現在、日本は超人手不足と言われ、人手不足倒産も増えてきているようです。実際、私共の顧問先様からも「募集をかけても、全く人が集まらない」というお話をよく聞きます。
では、本当に、人手不足なのでしょうか、今回は、厚生労働省が発表している有効求人倍率の資料から読み取っていきたいと思います。

  

全体の有効求人倍率

では、早速、全体の有効求人倍率をみていきたいと思います(ハローワークにおける求人・求職・就職の状況であるため、ハローワークを利用しない求人等は含まれていません)。
以下は。パートを含んだ有効求人倍率です。
〇平成28年度平均・・・1.39
〇平成29年度平均・・・1.54
〇平成30年度平均・・・1.62
〇令和元年平均(10月まで)・・・1.59

確かに、年々上昇してきています(令和元年はまだ終わっていませんが、おそらく横ばいくらいになりそうです)。1.0を大きく超えてきているので、確かに人手不足であろうことが予想されます。リーマンショック時の有効求人倍率は0.47でしたので、その頃と比べれば、雲泥の差です。

では、次にパートを除いた分の有効求人倍率をみたいと思います(こちらには派遣労働者やフルタイムの契約社員も含まれます)。

〇平成28年度平均・・・1.23
〇平成29年度平均・・・1.41
〇平成30年度平均・・・1.52

先ほどよりは少し下がりましたが、依然、1.0は大きく超えている状態です。
では、次にパート分のみをみてみたいと思います。

〇平成28年度平均・・・1.73
〇平成29年度平均・・・1.80
〇平成30年度平均・・・1.81

パートのほうが全体的に倍率が高くなっています。

職業別有効求人倍率

実は、有効求人倍率を見るうえで重要なのは、職業別の有効求人倍率です。
では見ていきたいと思います。
まず、以前から、人手不足が激しいと言われる、建設業を見てみます。

令和元年10月時点で、「建設・採掘の職業」全体では、有効求人倍率は「5.54」です。
有効求人数114,213人に対し、有効求職数はわずか20,631人となっています。極めて高い水準での人手不足だと言えます。
建設業の中でも、さらに細かく見ると、最も高いのは「建設躯体工事の職業」(躯体工事とは建物の骨組みの工事です)で、有効求人倍率はなんと11.59です。一人当たり11社以上の求人があることになります。
次に、いつもニュースなどで話題になるのは「介護サービスの職業」ですね。こちらも見てみましょう。
「介護サービスの職業」の有効求人倍率は、4.51です。こちらも確かに高いですが、建設関係の職業よりは、少し低い数字になっています。
その他、数字が高い職業は、「保安の職業」です。保安の職業とは、主に警備員などが該当しますが、こちらの有効求人倍率は、なんと「7.91」です。さきほどの建設躯体工事ほどではありませんが、こちらも極めて高い数字といえます。

では、次は、逆に有効求人倍率が低い職業を見てみます。
最も低い職業は、なんと「一般事務」です。その有効求人倍率は、なんと「0.39」です。リーマンショック時の全職種平均よりも低い数字となっています有効求人数156,443人に対し、有効求職数は40万人以上となっています。
事務系の職業全体でも有効求人倍率は、「0.5」です。
実に4人に1人は、事務職を希望していることになります。

これらの数字から、いわゆる「雇用のミスマッチ」が鮮明になっていることがわかります。雇用のミスマッチとは、企業側のニースと労働者側のニースが合致していないことを指します。この雇用のミスマッチは、かなり前から言われてきていましたが、最近これがさらに酷くなったと言えます。

まとめ

日本の今の現状は、確かに「人手不足」であることは確かなようです。ただ、人数だけを見れば、そこまで大きな人手不足とも言えず、最も問題なのは、求人側と求職側、それぞれのニーズが大きく異なっていること、つまり雇用のミスマッチのほうが大きな問題だと言えます。
また、現状では有効求人倍率の高い職業であっても、就職がなかなか決まらないというケースも少なからなず存在しています。
それは、人手不足であっても、企業側の求めるスキルに労働者側のスキルが追い付いていないという問題もあるためです。
これら多くのミスマッチが人手不足に拍車をかけていると言えるのではないでしょうか。

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