セブンの未払い残業代はなぜ起きたか?

さて、2019年12月、セブンイレブンがアルバイトに残業代の一部を支払っていないことが発覚し、ニュースになりました。
今回の未払い残業問題は、残業をしたのに残業代を支払っていないというよくあるパターンではなく、残業代の計算方法が間違っていたというものです。
残業代の計算は確かに間違えやすいのですが、大企業でもそんな計算間違いを起こすことに正直、驚きました。今回は、セブンイレブンがどのように間違いを起こしたかを解説したいと思います。

  

セブンイレブンの間違いの内容

詳細の内容までは分かりませんが、各新聞や雑誌の情報をもとにすると、セブンイレブンは、フランチャイズ契約で加盟する店舗のうち8129店舗で未払い残業があったようです。主に、時間給で働くアルバイト、パートが対象で、総額は、遅延損害金も含めて総額4億9千万円にのぼるということです。ただ、人数と期間から考えると一人当たりの額は多くはないと思われます。
ただ、これはデータが残っている2012年以降の分のみで、実際には40年以上前から未払いが発生していたもよう。
で、実際どのような間違いが起きていたかですが、まず、通常、時間給の方の残業代計算は単純です。
1日8時間、週40時間を超える労働時間に対しては(例外アリ)、時間給に1.25(例外アリ)を乗じて時間給を計算します。法定休日に労働した場合は1.35を乗じます。また深夜に勤務する場合は、0.25をさらに加算します。よって例えば法定休日労働が深夜に及んだ場合は、1.35+0.25=1.6で計算、通常残業が深夜に及んだ場合は1.25+0.25=1.5で計算することになります。この1.25や1.35、1.5、1.6を割増率と言いますが
時間給だけであれば、
「時間給×割増率」
で計算すればいいだけなので、あまり間違いは起きません。
しかし、セブンイレブンは、通常の時間給以外に、一部のアルバイトやパートに対し精勤手当と職責手当を月単位で払っていたのです。
残業代計算の際には、これらの手当も含めて計算しなければなりません。計算から除外できる手当もありますが、家族手当や通勤手当など一部の手当に限られます。
セブンイレブンは、2001年の労働基準監督署の調査でこれらの手当が残業代の計算基礎に含まれていないと指摘され、その際に給与計算のシステムを改修したはずでした。
改修し、これらの手当も含めて計算するようになったのですが、セブンイレブンは、この手当に対しは0.25倍でしか計算をしていなかったのです。
わざわざ基本時間給と手当を違う倍率で計算するように改修したことになります。
事例を挙げて計算してみます。
例えば時給900円で精勤手当が月3000円付いていたと仮定します。この方の月の所定労働時間は、アルバイトなので月80時間だったとします。
ある日に残業が発生し、1日9時間の労働をした場合、残業は1時間です。
この1時間の残業に支払われる残業代は、
まず基本の時間給部分で900円×1.25=1125円になります。
続いて手当ですが、精勤手当の3000円は月単位で支給されているので、これをまず時間給換算します。
3000円÷80時間=37.5円です。この37.5に割増率を乗じるので
37.5円×1.25=約47円となります。しかし、セブンイレブンは0.25しか乗じていないので約9円のみ支払っていたことになります。
差額は38円なので、仮に月10時間程度残業が発生していたとすると月当たり380円ほど未払いが発生していたことになります。
金額は大きくはありませんが、法令違反なのは間違いありません。

正直、今回の発覚でセブンイレブンは企業イメージを大きく損なうことになったわけですが、こういったリスクを考えると、わざと計算式を間違えたとは考えにくいです。
しかも、あれほどの大企業であれば、システムを改修した際にいくつかのチェックが入ったはずだと思います。それなのに、こんな単純なミスがどうして起こったののでしょうか?
もちろん、大企業だからすべてが完ぺきというわけではありません。しかし、今回の件は、あまりにお粗末としか言えません。
専門的な知識を持った方も社内にいるとは思いますが、猛省して頂きたいと思います。

まとめ

以前、「営業スタッフの残業代計算は間違いが多い?」でも解説しましたが、非常に分かりにくい残業代計算のケースも存在します。また、中小企業では、いまだに手当を残業計算の基礎に含めていないところは多いです(基本給のみで計算している)。
昨今は、こういった対応をしていると、すぐに「ブラック企業」と言われ、SNS等で拡散される時代です。
そうならないためにも、是非、一度、社内の計算方法を見直して頂きたいと思います。

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