コロナウイルス対策 雇用調整助成金の拡充

今回も新型コロナウイルスによる影響緩和のための政府の対策を見ていきたいと思います。今回は、厚生労働省の「雇用調整助成金」の拡充についてです。
今回の新型コロナウイルスの影響で、休業を余儀なくされた会社も少なくないかと思います。従業員を休業させた場合に、会社に対して助成されるのが「雇用調整助成金」です。こちらも以前からありましたが、今回、要件が緩和されましたのでこのあたりを解説します。

  

雇用調整助成金とは

まずは、これまでの雇用調整助成金の内容を簡単にご説明します。
雇用調整助成金は、企業が休業を実施した場合の休業手当や教育訓練を実施した場合の賃金相当額の3分の2(大企業は2分の1)を助成するものです。
ただ、すべての企業が利用できるわけではなく以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 会社が雇用保険に加入していること
  2. 売上高等の事業活動を示す直近3ヶ月の平均値が、その前年同期間と比べて10%以上減少していること
  3. 雇用保険被保険者数等の雇用量を示す直近3ヶ月の平均値が、その前年同期間と比べて、中小企業の場合は10%以上かつ4人以上、大企業の場合は5%超えてかつ6人以上増加していないこと。
  4. 所定労働日に休業または教育訓練を実施すること
  5. 過去に雇用調整助成金を受給したことがある場合で、新たに対象期間を設定する場合は、直前の対象期間満了日から1年を超えていること

上記以外にも細かな要件がたくさんありますが、ここでは割愛します。

受給できる額

先ほども書きましたが、受給できるのは休業手当の額又は教育訓練を実施した場合の賃金相当額の3分の2です(中小企業以外は2分の1)。賃金相当額の計算は少し複雑な計算を行うことになります。
ただし、助成金は、一人1日当たり8330円が限度額となります(令和2年3月1日現在)
ただし、教育訓練の場合は、さらに1日一人当たり1200円が加算されます。

また、1年間で100日分、3年間で150日分が限度となります。

対象となる労働者(休業の場合)

対象となる労働者の方は、この助成金の申請を行う事業主に雇用されている方で、雇用保険の被保険者になっている方になりますが、以下の方は除きます。

  • 休業を行った日の属する判定基礎期間の初日の前日までにその事業主に引き続き被保険者として雇用された期間が6ヶ月未満の方
  • 解雇予告されている方、退職願を提出している方、退職勧奨に応じた方等
  • 雇用保険の日雇労働被保険者
  • 特定就職者雇用開発助成金の支給対象者

受給までの流れ(休業の場合)

受給までの流れを簡単にご説明します。

  1. 雇用調整の計画立案
  2. 休業協定書作成
  3. 計画書の提出
  4. 休業の実施
  5. 支給申請
  6. 労働局等で審査
  7. 助成金の振込

大まかには上記のようになります、ポイントは、休業を実施する前に計画書を提出する必要がある点です。その点についても今回は緩和されています。

新型コロナウイルスの影響による雇用調整助成金の特例内容

さて、上記の雇用調整助成金の要件等は、通常時の場合です。今回、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い影響を受けた場合には、以下の点で要件や対象者が緩和されます。

ただし、この特例措置は現在のところ休業の初日が「令和2年1月24日から令和2年7月23日」までの場合に適用されるので注意してください。

  1. 雇用調整助成金の対象となる労働者は、先で説明したようにその会社で雇用保険被保険者として引き続き6ヶ月以上雇用されている方に限られていましたが、今回の特例により、6ヶ月未満でも対象とすることができるようになりました。
  2. 過去に雇用調整助成金を受給したことがある場合、前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していないと再び受給することはできませんでしたが、1年を経過していなくても助成対象となりました。
  3. 本来、休業計画を休業を開始する前に提出する必要がありますが、特例により「令和2年5月31日」までは事後での提出でも可能となりました。
  4. 売上等生産指標の確認期間は、本来3ヶ月平均ですが、これを1ヶ月に短縮となりました。
  5. 本来、事業所設置が1年未満の場合は対象外でしたが、今回の特例によりこちらも対象としています。この場合、前年実績が無いので令和元年12月と比較することになります。そのため、令和元年12月が無い場合は申請できません。
  6. 本来は、雇用量が一定以上増加していると受給できませんが、今回の特例により仮に一定以上増加していても対象となります。

ただ、大前提として、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う経済上の理由により休業等を行った場合の特例となります。それ以外の理由の場合は、この特例は使用できず、従来通りの要件により判断することになります。

まとめ

実際に、新型コロナウイルスの影響により、例えば、スポーツジムや飲食店、ライブハウスなど休業せざるを得ない事業主の方は、増えてきていると思います。
そういった場合は、是非、こういった助成金の活用も検討して頂き、終息までなんとか頑張って頂きたいと思います。
この雇用調整助成金以外にも政府はいろいろな施策をうってきているので、また順次紹介していきたいと思います。

以下で雇用調整助成金について解説しています。
https://srai.jp/koyouchousei/


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