再就職手当の申請方法・条件・金額を詳細解説

雇用保険から支給される「再就職手当」をご存知でしょうか?名前くらいは聞いたことがある方も多いと思いますが、再就職手当の具体的な申請方法、貰うための条件、貰える金額、パートやアルバイトとしての再就職でも貰えるか?など、細かい点についてはご存じない方も多いと思います。実際、本来、申請すれば再就職手当をもらえたのに、知らなかったために貰えなかった方も数多くみえます。

そこで、今回は、この「再就職手当」について、社会保険労務士が詳しく解説したいと思います。

再就職手当とは?

再就職手当は、失業保険(基本手当)の受給資格の決定を受けた後(要するに失業保険を貰える状態にあること)に、早期に、安定した職業へ再就職したか、あるいは自分で会社を興したり、事業を開始した場合に、受給できる手当になります。

失業保険の基本手当が、何日残っていたかによって、給付額(給付率)が変わる仕組みになっていて、早く再就職や起業したほうが、より多く再就職手当がもらえることになります。

再就職手当を貰うための条件

①失業保険(基本手当)の受給手続後、7日間の待機期間後に、再就職または起業したこと

前職を退職し、前の会社から離職票をもらい、それを持ってハローワークで失業保険(基本手当)の手続を行うと、その日から7日間の待機期間が必要となります。この待機期間後に、もし自己都合での退職であれば3ヶ月の給付制限期間があって、その後、失業給付が受給できます。倒産や解雇での離職であれば、この待機期間後にすぐに失業給付が受給できます。

再就職手当は、この待機期間が終了した後に再就職しないと受給ができません。

②給付制限期間がある方は、待機期間終了後1ヶ月間は、ハローワーク又は職業紹介事業者からの紹介による再就職のみが対象となります。

先ほど①で自己都合退職等で離職された方、待機期間完了後3ヶ月の給付制限期間があると書きましたが、給付制限期間中の最初の1ヶ月間については、ハローワークか民間の許可を受けた職業紹介事業者からの紹介による再就職でないと再就職手当を受給することはできません。この最初の1ヶ月間に自分で起業したり、求人誌などで自分で探した会社に再就職しても対象にならないので注意が必要です。給付制限期間の最初の1ヶ月をすぎれば、自分で起業したり自分でみつけた再就職先でも対象になります。
前職を会社都合の解雇や会社の倒産によって離職した場合は、そもそも給制限期間がないので、待機期間終了後、自分で探した就職先に再就職しても対象となります。

③失業給付(基本手当)の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上残して、再就職したこと。

所定給付日数が90日の方は30日以上、120日の方は40日以上、150日の方は50日以上残っている必要があるということになります。

④前職と同じ会社に就職したものでないこと。また、前職と関連性の強い会社に就職したものでないこと。

当たり前の話ですが、前職を辞めて、またすぐ、同じ会社に就職しても対象になりません。また、前職のグループ会社などに就職しても対象になりません。

⑤1年を超えて勤務することが確実であること

契約社員などで、1年以内に契約が終了することがあきらかな場合は対象になりません。ただ、パートの扱いであっても契約期間の定めが無いか、1年を超える契約期間であれば対象になる可能性があります。

⑥原則として、雇用保険の被保険者になっていること

雇用保険の被保険者なので、週20時間以上の勤務が必要になります。逆に言うと週40時間未満のパートでも対象になることになります。自分で起業した場合は、そもそも雇用保険の被保険者にはなれないので、起業した場合は、雇用保険の被保険者にならなくても対象となります。

⑦過去3年間の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当を受給していないこと

短期間のうちに何度も再就職手当の受給を受けようとする人を避けるためこのような条件がつけられています。

⑧失業保険(基本手当)の受給資格決定(求職の申し込み)前から採用が内定していた会社に就職したものでないこと。

意外にこれは多いのですが、例えば、前職に在籍中に、転職活動をしていて、在籍中にほぼ内定を貰った状態で、会社を辞め、内定したことを隠したまま失業給付の手続をとった後、実際に内定していた会社に就職して再就職手当を受給する方がみえますが、これは、不正受給となりますので注意してください。

再就職手当の額

再就職手当の額は以下の計算式で算出します。

基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×支給率(60%又は70%)

「基本手当日額」は失業給付の「雇用保険受給資格者証」に載っていますが、平成29年6月現在の限度額は60歳未満の方で5,805円、60歳以上65歳未満の方で4,707円になっています。

「所定給付日数の支給残日数」は、文字通り受給せずに残っている基本手当の支給残日数になります。所定給付日数が90日の方が、10日分だけ受給して再就職した場合は、この支給残日数は80日となります。

「支給率」は、所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して再就職した場合は60%、所定給付日数の3分の2以上を残して再就職した場合は、70%の支給率になります。

例をあげて説明します。

基本手当日額が4,500円、所定給付日数は90日の方が、15日分だけ基本手当を受給した段階で再就職した場合、

再就職手当の手続方法

再就職手当の申請は、就職日の翌日から1ヶ月以内に以下の書類をハローワークに提出します。

①再就職手当支給申請書(用紙はこちらからダウンロードできます)

②雇用保険被保険者証

③その他ハローワークが求める書類

再就職先が決まった時点で、ハローワークに就職の届出を行った後でないと、上記の再就職手当の申請は出来ませんので注意が必要です。再就職手当支給申請書は、この就職の届出を行ったときに、要件を満たしていればハローワークからもらえます。

この申請は、当然、再就職してからの申請になりますので、平日に休みをとって申請することが難しい場合も多いと思います。そのときは郵送での申請でも構いません。

まとめ

如何でしたでしょうか?要件を満たしていれば、申請自体は難しいものではないので、是非、失業給付を残して再就職された場合は、申請してください。

注意点は、自己都合などで前職をやめられた方は、給付制限期間の最初の1ヶ月はハローワーク等からの紹介による就職しか対象にならない点、及び、失業給付の手続前にすでに再就職先が決まっていた場合は、前職が解雇等による離職であっても対象にならない点ですね。

これらには、十分注意して申請してください。

 

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