残業代の計算は、給与計算を行ううえで最も間違いの多い項目の一つです。
 ここでは、残業代単価の計算についてご説明します。
 残業代単価を計算する場合、

     給与額/労働時間

 という計算式で計算すると思いますが、まずこの「給与額」について間違っているケースが多くみられます。中小企業の多くがこの給与額を基本給のみとしている場合が多くみられます。労働基準法では、残業代単価の計算の基礎から除外できるものは以下の手当だけです。
 1.家族手当
 2.通勤手当
 3.別居手当
 4.子女教育手当
 5.住宅手当
 6.臨時に支払われた賃金
 7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 上記以外の手当は、基本的に全て含める必要があります。

 なお、上記のような手当の名称ではなく実態で判断しますので、例えば、全員に一律の住宅手当を支給している場合は、それが住宅手当という名称であっても、残業代の計算の基礎に含めることになりますので注意して下さい。

 よく「皆勤手当」も含めるのか?というご質問を受けますが、皆勤手当も上記に該当しない手当であるため計算に含めることになります。よって、皆勤手当が付く月と付かない月で残業代単価が異なることになります。

 次に「労働時間」の算出ですが、これも間違って解釈しているケースが見られます。代表的なものとしては、残業時間も含めた実労働時間で計算を行っているケースです。ここでいう労働時間は、あくまで「所定」労働時間です。所定労働時間とは1日8時間、週40時間の範囲内であらかじめ定められた残業時間を含めない通常の労働時間のことをいいます。

 なお、月の所定労働時間が月によって異なる場合(ほとんどがこの場合に該当すると思います)は、1年間における1ヶ月平均所定労働時間を用いることになります。

 上記のように、残業代を計算するにあたりまずは「残業単価」の計算を正確に行うことが必要です。

 単価の計算では、他に例えば、営業マンのように歩合給を多く含む労働者の場合はどのように計算するのか?固定残業手当を支給している場合はどうするのか?休日出勤した場合で、その後代休を取る場合の残業代の計算はどうするのか?など残業代の計算についてはケースによりそれぞれ慎重に行わないと間違いの原因となります。

これらについても順次ご紹介していきたいと思います