給与から控除する源泉所得税の額は、「源泉徴収税額表」を使って算出します。

1.扶養家族の人数を確認する

上記、源泉徴収税額表を使って控除する所得税の額を算出するためには、まず従業員の扶養家族の人数を確認する必要があります。
扶養家族の人数は、入社時と年末調整時に従業員から提出してもらう「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で判断します。
もし、提出していない従業員がいたら、急いで提出してもらってください。
なお、この扶養控除申告書は、扶養している親族がいない従業員も提出しなければなりません。

2.課税対象額を算出する

扶養人数の確認ができたら次に、「課税対象額」を算出します。従業員に支払う給与の全額が所得税の課税対象になるわけではありません。
支払う給与のうち所得税のかからない給与(非課税給与)を除いたものが課税対象額となります。
では、どんなものが非課税給与となるのでしょうか?
代表的なもので言うと、通勤手当です。通勤手当として支給するものは、基本的に非課税となります。例えば、会社へ通勤するために公共交通機関を利用する場合は、月10万円を限度として、実際にかかった通勤定期代などを支給する場合は非課税となります(ただし、新幹線のグリーン車代などは対象となりません)。
車通勤の場合は、通勤距離によって非課税となる限度額が決まっています(詳しくは、「給与計算時の非課税通勤費の計算」をご覧下さい)。

通勤手当以外で非課税となるものには以下のようなものがあります。

○旅費

給与所得者の業務遂行のための旅費で通常必要と認められるものは、非課税となります。

○海外渡航費

給与所得者の業務遂行のための海外渡航費で通常必要と認められるものは、非課税となります。なお、その業務に関連して観光をあわせて行った場合にも往復の旅費については、非課税としてさしつかえありませんが、観光に要した費用については給与として扱われます。

○宿日直費

宿日直料は、1回の宿日直につき支給される金額のうち、4千円までの部分の金額については、非課税とされます。

○結婚祝い金、見舞金など

結婚や出産等のお祝い金やお見舞金は、社会通念上相当と認められる金額については、非課税とされます。

○災害補償金等

労働基準法などによる療養給付費用や障害補償金は、非課税とされます。

○保険料等

使用者契約で役員または使用人を被保険者とする生命保険や損害保険等、課税されない保険契約があります。
上記以外にも非課税となるものがありますので注意してください。

上記のような非課税給与を給与総支給額から差し引いて「課税対象額」を求めます。

3.社会保険料等控除後の給与等の金額を算出する

上記2.で「課税対象額」が算出できたら、次にこの「課税対象額」から社会保険料等を控除して、「社会保険料等控除後の給与等の金額」を算出します。

ここでは単純に、「課税対象額」から健康保険料(介護保険料含む)、厚生年金保険料、雇用保険料を差し引いて算出していただければ結構です(役員等で雇用保険に加入していたい場合は健康保険料(介護保険料含む)、厚生年金保険料のみ控除)。

4.所得税の額を算出

ここまできたらあとは、3.で算出した「社会保険料等控除後の給与等の金額」と1.で算出した扶養人数を
「源泉徴収税額表」に当てはめて計算します。
まず、「源泉徴収税額表」の一番左の列、○○○○円以上○○○○円未満という数字が縦に並んでいる箇所を見て、ここに3.で算出した「社会保険料等控除後の給与等の金額」を当てはめます。

そして次は「源泉徴収税額表」の一番上段にある「扶養親族等の数」の欄をみて、1.で算出した扶養人数を当てはめます。それぞれが重なり合った箇所に記載されている金額が所得税の額となります。