退職時の社会保険料と雇用保険料は控除するのでしょうか?しないのでしょうか?
基本的なことですが、以外に間違いが多いのも事実です。
まず、雇用保険料ですが、こちらは単純です。退職時の給与(最後の給与)からも、その総支給額に雇用保険料率を掛けた額を控除します。
次に社会保険料ですが、こちらは控除する場合と控除しない場合があるので注意が必要です。
まず、会社として社会保険料の控除を「翌月控除」で行っているか、「当月控除」で行っているかを確認する必要があります。
翌月控除とは、その月に支払う給与から前月分の保険料を控除するやり方です。例えば6月20日締め6月25日払いの給料であれば、6月25日に支払給料からは5月分の社会保険料を控除することになります。一方、当月控除はその名のとおりその月に支払う給料からその月の社会保険料を控除するやり方ですから、先の例で言うと、6月25日に支払う給料からは6月分の社会保険料を控除することになります。
実際、どちらのやり方も存在するのですが、正しいのは「翌月控除」です。ですから、当月控除で行っている場合は、出来るのであれば翌月控除に修正したほうが良いでしょう。
翌月控除か当月控除かが分かったら、次は退職日を確認します。なぜかというと、例えば5月30日退職者と5月31日の退職者では取扱いが異なるためです。
どういうことかと言うと、社会保険料はその資格を喪失した日の属する月の前月までかかることになります。ここで注意しなければならないのは、「資格を喪失した日」です。社会保険上の「資格を喪失した日」は退職日とイコールではなく、退職日の翌日となります。
つまり、5月30日の退職であれば翌日の5月31日が資格喪失日となり、資格喪失日が属する月(5月)の前月まで保険料かかかるわけですから4月分まで保険料がかかることになります。
一方、5月31日の退職であれば翌日の6月1日が資格喪失日となり、資格喪失日が属する月(6月)の前月まで保険料かかかるわけですから5月分まで保険料がかかることになります。
このように実際には退職日は1日しか違わないのですが、保険料は1ヶ月分異なることになります。
よって例えば「翌月控除」の会社で6月20日締めの6月25日払いの給与の場合であれば、5月21日から5月30日までの退職の場合は、6月25日に支払う最後の給与からは保険料は控除しないことになりますし、5月31日から6月20日までの退職であれば、最後の給与から保険料を控除することになります。
では、同様の場合で、「当月控除」の会社の場合はどうでしょうか?
この場合は少し面倒なことになります。なぜかというと、先の例で5月21日から5月30日の間の退職であれば社会保険料は4月分までしかかからないわけですが、4月分の保険料は4月25日の給与から控除してますし、本来であれば控除する必要の無い5月分の社会保険料も5月25日支払の給与からすでに控除してしまっています。よって、この場合、1ヶ月分余分に保険料を控除していますので、返金の処理をする必要がでてきます。
5月31日から6月20日までの退職の場合は、最後の給与から保険料を控除しなけばOKです。
上記のことからも「当月控除」よりも「翌月控除」にしたほうが、処理がスムーズに行く事になります。