業務災害で病院に行っている間の賃金はどうなるか?

業務多忙のため、なかなか更新が出来ず申し訳ありません。今後も数ヶ月に1度くらいの更新になると思いますが、お時間ある時に読んで頂けると幸いです。
今回も顧問先からのご相談。ある従業員が仕事中にごくごく軽傷のケガをし病院へ行くと言って詳しい報告もせずに病院へ行き、2時間ほどで戻ってきました。
実際に仕事中のケガなので労災にすること自体に異論はありませんが、この病院に行っていた2時間分の賃金はカットしても良いのでしょうか?
というものでした。
こちらについて今回は解説したいと思います。

  

答えは2時間分カットしてもOKです

業務中の事故でケガをしたんだから、病院に行っている間も賃金が発生しないとおかしいでしょ?というのが多くの方の感覚かなと思います。
実際、私の感覚ですが、業務中にケガをした場合、だいたい上司の方が「すぐに病院に行け」となって、なんなら、そのまま直帰していいぞとなるケースも少なくなく、その場合で、その早退した分の賃金をカットするということはあまりありません。
ただ、だからと言って法律上そうしなければならないというものでもありません。

業務災害によるケガのための通院でもノーワークノーペイの原則は適用される

上記で解説した通り、感覚的には、通院時間も会社は賃金を支払う義務がありそうですが、実際は、通院時間は労働していないわけですから、労働基準法のノーワークノーペイの原則は適用され、その分の賃金をカットしても問題ありません。
ですので、今回のご相談のケースであれば2時間分をカットしても何ら問題はありません。

ただ、勘違いする要因の一つとして、労災保険の休業補償給付があります。休業補償給付は、労働者が業務上の災害により、働くことができなくなった場合に、その間の給与を補償するものです。詳しい休業補償給付の内容まではここでは触れませんが、この休業補償給付には、最初の3日間に待期期間というものがあり、この3日間については、労災からは給付がありませんので会社がその分の休業補償をしなければなりません。つまり、労災保険からは給付がでない分は、会社が負担しなければならないという仕組みなので、これと混同して、労災から給付のない通院時間についても会社が補償しなければならないと考える方もいるようです。

ただし、実は賃金が出る場合もある

では、全ての場合で全く賃金を支払わなくても良いかというと、そういうわけでもありません。
労働基準法第76条は以下のようになっています。
「労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。」

例えば、ケガの状況により通院時間が長くなって、所定労働時間のうち6時間かかったとします。その場合、その6時間分をカットしてしまうと、上記労働基準法第76条に規定する平均賃金の100分の60を下回る可能性があります。その場合、会社は、平均賃金の100分の60までの金額については支払う必要があることになります。

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