登録ヘルパーにも有給休暇は発生するか?2つの重要ポイント

以前に書いた「パート・アルバイトの有給休暇の疑問を徹底解説!知っておきたい3つの重要ポイント」という記事で、パートやある衣バイトなど労働時間の短い方の有給休暇について解説しました。

今回は、これらの方と似てはいるのですが、少し特殊な働き方をしている「登録(介護)ヘルパー」さんの有給休暇について解説してみたいと思います。

現在、登録ヘルパーとして働いている方はもちろん、登録ヘルパーさんを使って事業を行っている介護事業所の経営者の方、労務担当者の方に是非、読んで頂きたいと思います。これを呼んでいただければ、登録ヘルパーさんの有給休暇をどのように扱っていただければ良いか分かると思います。

 

そもそも登録ヘルパーとは?

そもそもですが、登録ヘルパーさんとはどのようの方を指すのでしょうか?

登録ヘルパーは、介護事業所に登録をして、登録ヘルパーさんが希望する曜日や時間に、利用者さんの自宅へ行って介護を行う方です。正社員やパートのヘルパーさんと何が違うかというと、自分の都合の良い曜日や時間にのみ、仕事が出来る点です。正社員やパートであればあらかじめ雇用契約で決まっている時間は、必ず出勤しなければなりませんが、登録ヘルパーの場合は、事前に希望した時間に、利用者がいれば仕事をするというスタイルです。そのため、希望していても、仕事が無いときも当然あります。

また、登録ヘルパーさんと介護事業所との契約内容も少し特殊になっています。介護事業所にもよるのですが、いまだに時間給としての契約ではなく、1回の訪問介護でいくらという契約を交わしているところもあるようです。つまりは、雇用契約ではなく、業務委託契約または請負契約として契約しているケースがあります(一昔前までは非常に多かったです)。業務委託や請負契約であれば、登録ヘルパーさんは、介護事業所に雇用される労働者ではなくなりますので、そもそも有給休暇の発生自体があり得ないということになります。

しかし、実態として、多くの登録ヘルパーさんは、介護事業所に雇用され、基本的には介護事業所の指揮命令の下に仕事を行っているので(ヘルパーさんが勝手に訪問先やケアの内容を決めているわけではない)、「労働者」に該当すると思われます。この点については平成16年8月27日付けの厚生労働省からの通達の中で、「訪問介護の業務に従事する者の中には、委託、委任等の呼称が用いられる場合もあるが、労働者に該当するかについては、使用者の指揮監督等の実態に即し総合的に判断すること。なお、介護保険法に基づく訪問介護の業務に従事する訪問介護員等については、一般的には使用者の指揮監督の下にあること等から、労働基準法第9条の労働者に該当するものと考えられること」とされています。
つまり、介護保険法の介護を行うヘルパーさんについては、基本的にどのような契約形態であっても、「労働者」として認められるということになります。

労働者と認められる以上は、有給休暇が発生する可能性があるということになります。

 

登録ヘルパーさんには、何日の有給休暇が与えられるか?その計算方法

では、登録ヘルパーさんの有給休暇の日数はどのように計算すれば良いのでしょうか?

通常、パートやアルバイトの方の有給休暇の日数は、その方の週の所定労働日数又は1年間の所定労働日数によって決まってきます。所定労働日数とは、雇用契約書などであらかじめ決まっている働く日を指します。例えば、毎週、月、水、金に働くように契約していたら、週の所定労働日数は3日になり、それを下記の表に当てはめると、6ヶ月継続勤務後に、「5日」の有給休暇が与えられることになります。

では、登録ヘルパーさんの場合は、どうでしょうか?

そもそも、登録ヘルパーは、働きたい曜日や時間をあらかじめ登録はしますが、その希望した曜日や時間に必ず仕事があるとは限りません。つまり、そもそも所定労働日という考え方が存在しないことになります。所定労働日が存在しない以上、以下の表に当てはめることができないのですが、この点についても、厚生労働省の通達で以下のように示されています。
「所定労働日数が少ない訪問介護労働者に対して付与される年次有給休暇日数は、次頁のとおり、原則として基準日においおて予定されている今後1年間の所定労働日数に応じた日数です(ここで言う次頁は以下の表を指します)。なお、予定されている所定労働日数を算定し難い場合には(これが登録ヘルパーのことを言っていると解釈できます)、基準日直線の実績を考慮して所定労働日数を算出することとして差し支えありません。したがって、この場合には、過去6ヶ月間の労働日数の実績を2倍したものを1年間の所定労働日数とみなして差し支えありません」
としています。

つまり、例えば、登録ヘルパーさんが働き始めてから6ヶ月間の総労働日数が40日だったとすると、40日×2=80日がこの方の年間の所定労働日数とみなされことになります。この80日を上記表の「1年間の所定労働日数」に当てはめると、下から2番目に該当するので、この登録ヘルパーさんの場合、3日の有給休暇が与えられることになります。

まとめ

「登録ヘルパーさんには、有給休暇を与える必要が無い」と思っている介護事業所の方も実際は多いようですが、法律上は、ご説明したように、過去の働いた実績により、有給休暇を与えなければなりません。

登録ヘルパーさんも遠慮して、有給休暇の申請を行わない方も多いようですが、法律上、認められた権利ですから、必要に応じて有給休暇を申請してみてはいかがでしょうか。

今回は、以上になります。

 

登録ヘルパーにも有給休暇は発生するか?2つの重要ポイント” に対して1件のコメントがあります。

  1. 両方敦子 より:

    上記のご説明、大変参考になりました。
    ヘルパーステーションの経営に関わっているものです。登録ヘルパーさんにこれまで有給を付与しておりませんでした。上記の記事から有給の付与を行う必要があることは理解できましたので対応を前向きに検討したいと思います。そのうえで2点質問です。
    ●登録ヘルパーさんに「今年から付与します」というときに「これまでの分はどうしてくれるのか」といった話がでてきたときの対応としてどう説明するのが適切でしょうか。
    ●1日に1件のケアで週3回入っている登録ヘルパーもいます。これを1日勤務とカウントするのは不公平と思うので、1日●時間以上働いている場合を対象とする、など独自のルールを設けることは問題ないのでしょうか。

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