限度額適用認定証があっても高額療養費の申請が必要な場合がある

今回は、限度額適用認定証について、これは、顧問先さんからのご相談というわけではなく、親類に相談されて、結構、勘違いしている人がいるのでは?と感じたので、解説していきたいと思います。

結論からお伝えすると、たとえ限度額適用認定証が発行されていても、高額療養費の申請をするべき場合があるということです。そのあたりを解説します。

  

限度額適用認定証

入院費や手術費用など、病気やけがの治療費が高額になった場合、一旦窓口で治療費を支払いますが、後日、高額療養費の請求をすれば、自己負担限度額を超えた分については、払い戻されます。ただ、一旦は、その金額を負担する必要があるため、被保険者にとっては、負担が大きくなります。

そのため、限度額適用認定証を発行を申請すれば、その認定証を提示することで、自己負担限度額までを窓口で負担すればよくなります。一般的には、長期的な入院や手術が予定される場合に、事前に申請しておき、支払い時に提示するケースが多いですが、入院や手術以外でも、例えば、高額な薬などを定期的に使う必要がある場合にも発行しておけば便利です。

限度額認定証を使っても高額療養費の申請が必要な場合もある

限度額認定証を使えば、自己負担限度額までを負担すればよくなるので、別途、高額療養費の申請は必要ないと考えている方が多いようですが、必要となるケースもあり、実際、そういったケースは少なくありません。

具体例のほうが分かりやすいので、実際にあった事例でご紹介します。

Aさんは、ある持病を抱えている方です。入院したこともありますが、現在は、2ヶ月に1回通院しています。通院で済んではいますが、毎回、高額な薬が処方されています。

健康保険は協会けんぽに加入しています(会社員)。

病院の窓口で支払う、自己負担額はだいたい5000円程度(検査の内容によって変動します)ですが、院外の薬局で薬を受け取る際は、高額療養費の限度額に到達し、限度額認定証を提示するため、薬局の窓口で支払うのは44,400円です(多数該当で区分ウ)。

限度額認定証を提示しているので、薬局の窓口での負担は、44,400円で済んでいる(限度額認定証が無ければ10万円近い)ので助かるのですが、このままで放置している方が多いです。

病院と院外薬局は、支払先が分かれてはいますが、同じ病気によるものであれば当然に合算できますから、この方の本来の自己負担額は限度額の44,400円であるはずなのに、実際には5,000円(病院窓口負担)+44,400円(薬局窓口負担)の49,400円を負担しています。

つまり、限度額認定証を病院の窓口と薬局の窓口の双方で提示したとしても、本来の自己負担額を超えて支払いを行っていることになります。

そのため、この超えた部分については、あらためて、「健康保険高額療養費支給申請書」を協会けんぽに提出する必要があります。

ただ、実は何もしなくても協会けんぽからは提出を促す書面が自宅に届きます。しかしながら、これを提出していない方が多いです。

複数の病院にかかっていたり、複数の薬局を利用している方は、こういった状況になりやすいので、ご注意ください。

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