毎月の健康保険料額の決定
毎月の健康保険料額の決定
毎月の給料と賞与から徴収される保険料は、入社等で労働者が社会保険の被保険者となった際に保険料の算定基準となる給与総額から算出した標準報酬月額によって定められます(資格取得時決定)。
その後、被保険者が事業主から実際に受け取る報酬は、昇給や降給、時間外手当等の変更により、月によってその額が変動することがあります。実際に受けた金額と標準報酬月額に大きくズレないように、毎年一回、全被保険者の報酬月額を届け出て、標準報酬月額を決めなおすことになります。この決定を定時決定(算定)といいます。
標準報酬月額の決定
標準報酬月額とは、被保険者が受ける報酬(給与)を、いくつかの等級に区分した「標準報酬月額」という仮の報酬に当てはめて、保険料や年金・傷病手当金などの給付額の計算を行なっています。健康保険では第1~47級、厚生年金保険では第1~30級の等級に区分されています。
報酬の範囲
標準報酬月額を算定する時の基礎となる「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与、その他その名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるものはすべて「報酬」となります。
金銭でなく、現物で支給される食事、住居、通勤定期券なども報酬に含まれます。
ただし、臨時に受けるもの、3ヶ月を超える期間ごとに受ける賞与などは、報酬には含まれません。
報酬となるもの、ならないものの具体例は次のようになります。
通貨で支給されるもの | 現物によるもの | |
報酬となるもの | 基本給(月給・週給・日給など)、 残業手当、 能率手当、 通勤手当、 住宅手当、 家族手当、 役付手当、 職階手当、 勤務地手当、 日直手当、 宿直手当、 早出手当、 勤務手当、 皆勤手当、 精勤手当、 会社から支給される私傷病手当金、 賞与・決算手当(年4回以上支給されるもの)
賞与・決算手当て・年末一時金などの賞与性のもので、年3回以下支給されるもの、その他定期的に支給されるものでなく一時的に支給されるもの |
通勤定期券、 回数券、 食事・食券、 社宅・独身寮、 被服(勤務服でないもの) 給与として支給される自社製品など
現物で支給される賞与など |
報酬とならないもの | 事業主が恩恵的に支給するもの(病気見舞金、災害見舞金、結婚祝金など)、公的保険給付として受けるもの(健康保険の傷病手当金、労災保険の休業補償給付、年金、恩給など)、臨時的、一時的に受けるもの(大入袋、解雇予告手当、退職金など)、実費弁償的なもの(出張旅費、交際費など)、年3回まで支給されるもの(賞与など・・・年3回以下のもの。賞与として保険料の対象) | 制服・作業衣などの勤務服、 食事(本人からの徴収金額が標準価額により算定した額の2/3以上の場合)、 社宅(本人からの徴収金額が標準価額により算定した額以上の場合)など |
現物給与の取り扱い
通勤費を回数券や定期券で支給した場合は、現物給与として全額を報酬として算入します。定期券は1ヶ月あたりの金額に換算して算入します。
事業主が社員食堂などで食事を支給したときや住宅(寮・社宅)を貸与している場合は、各都道府県が告示している標準価格に基づいて金銭に換算し、報酬に算入します。
なおその一部を本人が負担している場合は、その分を差し引いた金額を報酬に算入します。ただし食事の供与について、標準価格の3分の2以上を本人が負担する場合は、現物給与はないものとして取り扱います。
定時決定とは
定時決定は4・5・6月に支給された給与の平均額を届け出て、9月以降の社会保険料を決定するものです。この平均額を標準報酬月額表にあてはめて標準報酬月額を決定します。標準報酬月額に健康保険料率および介護保険料率を乗じた額が、9月以降の新しい保険料となります。
4・5・6月の給与平均額を算出する際には、給与計算の対象となる日数(支払基礎日数)に注意しましょう。
この日数が17日未満の月は報酬額が通常のものとかけ離れたものになる恐れがあるため、計算の対象から除かねばなりません。
また、定時決定の対象者は、原則として7月1日現在の被保険者全員となります。ただし、6月1日より7月1日までの間に被保険者となった人及び7月より9月までのいずれかの月から随時改定を行なわれる人については対象外となります。