従業員又は扶養家族が病気やケガをしたとき
1.療養の給付
療養の給付とは、ようするに病院にかかって治療を受けることをいいます。治療を行う行為そのものが現物給付されていることになります。ただし、窓口にて実際にかかった医療費の3割を被保険者が負担することになります。
療養の給付とは主に以下の行為をさします。
・診察
・薬剤又は治療材料の支給
・処置、手術その他の治療
・居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
・病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
療養の給付の受け方
病気やケガをしたときは、健康保険を扱っている病院・診療所に『被保険者証』を提出します。70歳~74歳の方(長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の被保険者等になる方を除く)は「高齢受給者証」もあわせて提示してください。一部負担金を支払い、診察・治療・薬の支給・入院などの治療を治るまで受けることができます。また、医師の処方せんをもらった場合は、保険薬局で薬剤の調剤をしてもらうことができます。
2.入院時食事療養費
被保険者が入院した場合の食事代です。食事代の一部は被保険者に負担してもらい、残りを現物給付するものです。
3.入院時生活療養費
療養病床(長期間入院する方用の病床)に入院している65歳以後の被保険者に対する給付です。長期間入院している場合は、必要最低限の食費、光熱費等を被保険者に負担してもらい、残りを入院時生活療養費として現物支給します。
4.保険外併用療養費
保険が適用されない高度な医療を等を受けた場合、その全額が保険の対象外となるのではなく、高度医療のうち通常の保険適用医療と同等とみられる部分については、保険外併用療養費として、現物支給されます。
5.療養費
1.~4.で見てきたように基本的に病院でかかる医療行為等は、一部負担金を除いて、現物で支給されます。しかし、例えば、入社したばかりで、まだ保険証が手元に届く前に病院にかからなければならない場合など、病院の対応にもよりますが、保険証の提示がない以上、3割だけではなく全額(10割)を窓口で支払う場合があります。こうして全額窓口で支払った場合は、一部負担金を除いた残り7割分が後に現金で給付されることになります。この現金給付のことを療養費と言います。
6.訪問看護療養費
都道府県指定の訪問看護事業者から訪問看護を受けた場合に支給されるもので、病院の医師から受けたものを含みません(病院の医師から訪問により診察を受けた場合は療養の給付になります)。
厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額のうち、一部負担金相当額(基本利用料)を本人が負担し、残りを現物給付します。
7.移送費
緊急でやむを得ない場合で、救急車も利用できなかったような場合に病院へ移送するためにかかった費用を現金で支給するものです。
ただし、以下の要件すべてを満たしていなければなりません。
・移送により適切な療養を受けたこと
・移送の原因である疾病又は負傷により移動することが著しく困難であったこと
8.家族療養費・家族訪問看護療養費・家族移送費
上記でご説明した被保険者への給付が、被扶養者に変わっただけです。上記でご説明した、被保険者に対する療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外療養費及び療養費に相当する門もとして被扶養者に給付されるのが、「家族療養費」です。
被保険者の訪問看護療養費に相当するものとして被扶養者に対して家族訪問看護療養費が支給されます。移送費に相当するものとして家族移送費が支給されます。
内容的には被保険者に対するものとほとんど変わりません。