派遣元責任者の職務代行者について、ご質問が多いのでここであらためてまとめておきます。

7df36022a469e3b1c9cf83b310bbfd08_s派遣業の許可申請を行うためには、派遣元責任者の職務代行者は必ず用意しなければなりません。

派遣元責任者は、キャリアコンサルティングの担当者や製造業務専門派遣元責任者を兼務することはできますが、当然、職務代行者は兼務できませんので、派遣業の許可を取得するためには、最低2名の人員が必要になります。

職務代行者はになられる方は、派遣元責任者講習を受講する必要もありませんし、労務管理等の経験も必要ありませんが、その会社に専属で常勤の方である必要があります。小規模の会社で多いパターンは、代表取締役が派遣元責任者で他の役員(取締役)が職務代行者という形です。また、この職務代行者(取締役)も代表取締役の妻や親など親族がなられるパターンも多いです。ただ、この職務代行者になられる方が、他の会社でフルタイムで働いていたりすると、本来、職務代行者にはなれないので注意が必要です。

逆に、ある程度、規模の大きな会社の場合も職務代行者に関しては注意が必要です。例えば、派遣の事業所を名古屋市と豊橋市の2ヶ所に構えているような派遣会社だとします。この場合、当然、それぞれの事業所に派遣元責任者と職務代行者を置く必要がありますが、名古屋事業所の派遣元責任者の職務代行者に豊橋事業所所属の従業員の方をあてることはできません。「名古屋事業所所属なのか豊橋事業所所属なのか、労働局側では分からないのでは?」と思われる方も多いと思いますが、これは、労働局側で把握が可能なのです。というのも、派遣の事業所は必ずそれぞれで雇用保険の適用事業所の申請を行わなければなりません。つまり豊橋事業所で働く方(派遣労働者だけでなく派遣元のスタッフ等も)は、全員、豊橋事業所の雇用保険適用事業所番号で雇用保険の資格取得手続を行わなければなりません。雇用保険上、豊橋事業所の所属になっているのに、名古屋事業所の職務代行者として登録することはできないのです。人事異動が頻繁に行われているような会社だと、現状、名古屋事業所に勤務しているが、雇用保険上の所属は豊橋事業所のままというパターンは実際にありますので、その場合は、速やかに、雇用保険の「転勤届」を提出しておく必要があります(「転勤届」の存在自体をご存知ない方が多いようです)。