さて、そろそろ労使協定の締結に向けて、具体的な内容の決定に動いている派遣会社が多いと思いおますが、先日、地域指数に関するご相談を受けましたので、地域指数について解説したいと思います。
地域指数とは
まず、最初に、念のため地域指数とは何かをご説明します。ご存じの方は飛ばしてください。
労使協定方式を採用する場合、派遣スタッフの賃金のうち「一般基本給・賞与等」は、以下の計算式をもとに計算します。
「一般労働者の職種別の勤続0年目の基本給・賞与等」×能力・経験調整指数×地域指数」
もう少し簡単に言うと、賞与も含めた職種別の時給額が毎年、局長通知として発表されるので、その時給額に、能力と経験に基づく指数とその方が働いている地域の指数を乗じて、その地域で働く一般的な労働者と同レベルの賃金にしましょうということです。
地域指数は、都道府県別と管轄ハローワーク別の2種類が毎年、発表されます。基本的には、どちらを使用しても構いません。
間違ってはいけないのは、この地域指数のもとになる地域は、派遣元の派遣会社が所在する地域ではなく、派遣先が所在する地域、つまりは、派遣スタッフが実際に働く地域の指数を使用する必要があることに注意してください、まだ、この点を勘違いされている方が多いように思います。
実際の地域指数の比較と運用
では、実際の地域指数を都道府県別とハローワーク別で見てみましょう。
〇都道府県別
愛知県・・・105.4
岐阜県・・・99.9
三重県・・・98.6
〇ハローワーク別
・愛知
名古屋中・・・107.7
名古屋東・・・107.6
豊橋・・・107.6
春日井・・・107.2
名古屋南・・・105.4
半田・・・103.5
津島・・・103.4
豊田・・・103.3
岡崎・・・102.9
瀬戸・・・102.8
一宮・・・102.7
刈谷・・・102.2
西尾・・・101.7
犬山・・・100.9
豊川・・・99.5
新城・・・94.9
ハローワーク別では指数順に並べ替えてみました。
愛知県指数105.4以上になっているのは、名古屋中、名古屋東、豊橋、春日井、名古屋南の5つ、それ以外は愛知県指数未満になっています。基本的には、愛知県指数を使ったほうが単純で分かりやすいかとは思いますが、上記指数をみて、多くの方が考えるのが、名古屋中、名古屋東、豊橋、春日井管轄で働く派遣スタッフについては、「愛知県指数」を使用し、それ以外は、「ハローワーク指数」を使えば、賃金を低く設定できるのでは?と考えると思います。
正直、こう考えるのは理解できますし、心情的には、そうしてくださいと言いたいところですが、そうはいきません。
この点についてはパンフレットに明確に記載されています。記載の内容は以下の通りです。
「地域指数は、都道府県別とハローワークの管轄別に示されますので、派遣労働者の就業場所に応じて地域指数を選びます。この際、例えば、同じ都道府県の中で、賃金の低い地域はハローワークの管轄別の数値、賃金の高い地域は都道府県別というように、恣意的に地域指数を使用してはなりません」
つまり、賃金を引き下げる目的で、使い分けることはできないということになります。逆に言うと、賃金を義気下げる目的でなけらば、使い分けはある程度認められるということです。
パンフレット上は、このように記載されているので、基本的には引き下げ目的での使い分けはできませんが、今後、運用が実際に開始され、使い分けの運用がなされた場合、行政側がどこまで介入できるかは疑問が残るところです。労使協定は、あくまで、労使で話し合いを行い、双方合意したうえで締結されるものです。その内容は、法令に違反していない限りは有効なはずです(もちろん、労働者代表が適正に選出されていることが大前提になることは言うまでもありません)。もちろん、法令に違反していなくても、行政側で指導を行うことが出来ますが、効力まで失わせることができるのかは疑問です。
もちろん、できることなら、使い分けはしないほうがいいです。
ただ、今後、状況によっては、やむをえない状況もは起こりうるのかなと感じています。