条文

第一条
 この法律は、職業安定法と相まつて労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする。

派遣労働者保護へのシフト

この目的に関する条文は、平成24年の改正時に変更になりました。
現行では、 「派遣労働者の保護等を図り」となっていますが、以前は、この部分が「派遣労働者の就業に関する条件等を図ることにより」となっていました。

これが何を意味しているかですが、前回の平成27年改正、今回の平成30年改正もそうですが、この頃から、派遣労働者の「保護」に重点を置かれ始めたことが分かります。 これ以前は、社会問題として、派遣労働者の雇用の不安定さや労働条件の低さ等が度々問題になってきました。これらを背景に、派遣労働者への保護が重点化されたことが予想されます。

私見ですが、これまでは、派遣労働者を使用することについて、派遣先企業は労働力を調整しやすいというメリットが高く、派遣労働者の需要も高かったのですが、昨今の人材不足及び上記のように派遣法自体が「派遣労働者への保護」に重点を置いたことにより、今後は、派遣労働者を使うメリットは大きく減少してしまったと言わざるを得ません。今回の平成30年改正でそれが決定的になったと感じます。今後の派遣元会社は、今までのやり方では運営が難しくなっていくのではないでしょうか。

もともと派遣法は、職業安定法で禁止する労働者供給事業を一定の要件のもとに解禁したものです。つまり「規制緩和」から生まれたものですが、ここ数回の改正は、いずれも「規制強化」の動きになっています。違う言い方をすれば、徐々に派遣法ができる前の状態に戻りつつあるともいえます。
今後は派遣法自体の意義が問われていくのではないでしょうか。