平成27年3月5日に静岡労働局より、労働者派遣事業業務改善命令が発表されていますので、その内容と解説を簡単にしたいと思います。

○処分特定派遣元事業主

名称 株式会社愛野hope
届出番号 特22-301754
届出受理年月日 平成23年6月10日

○処分理由

株式会社愛野hopeは、平成25年4月4日から平成26年10月31日までの間に労働者派遣法第4条第1項に違反して、適用場外業務である病院及び介護老人保健施設における看護師業務に少なくとも派遣労働者延べ502人の労働者派遣を行っていたこと。
・派遣先A・・・介護老人保健施設
平成25年4月4日から平成26年10月31日までの間に、通所リハビリ部門での看護師業務に延べ389人の労働者派遣を行っていた。
・派遣先B・・・病院
平成26年4月1日から平成26年10月15日までの間に、病棟での看護師業務に延べ113人の労働者派遣を行っていた。

<解説>

典型的な、看護師派遣に対する処分です。過去、何度もこういった看護師派遣で業務改善命令や業務停止命令が出されていますが、後を絶ちません。
今回のケースが、単なる知識不足から生じているのか、あえて知った上で行っていたのかは、わかりませんが、確かに看護師派遣については分かりにくい部分がることは否めません。
某大手求人サイトでも、看護師派遣は、広く認められているというようなニュアンスで書かれていて、誤解していしまう方も多いようです。

あらためて、まとめておきますが、原則として、病院、診療所、助産所、介護保険施設に対する看護師の派遣は禁止されています。そして、患者さんの居宅において行われるものについても派遣は禁止です。
これが、原則です。
ただし、看護師派遣には例外が多く存在します。
病院、診療所、助産所、介護保険施設への派遣は禁止だと先ほど書きましたが、逆を言えば、これらの施設以外への派遣は可能ということになります。
多いのは、有料老人ホームやデイサービスセンターなどですね。これらへの派遣は可能です。ちなみに、非常に分かりにくいですが、特別養護老人ホームへの派遣は可能ですが、介護老人保健施設への派遣は禁止されています(特養はいいけど、老健はだめ)。このあたりは、特養と老健の違いを把握していなければ、判断が難しいですね。
上記施設以外に、現状、看護師派遣で多いのは、紹介予定派遣と産休等の代替要員として、一般の病院やクリニックへの派遣です。これらは、例外として認められているので、きちんと許認可を取得した派遣会社がこれらを行うことは問題ありません(ただ、産休代替要員での派遣については、本当に以前からいた看護師が産休に入った上での代替要員なのか疑わしい事例も多いですが・・・)。

以上のことから、派遣法、医師法、保健師助産師看護師法、介護保険法等及びその施行令まできちんと把握しないまま、看護師派遣を行うと、上記のような改善命令や業務停止命令がでて、会社名まで公表されてしまいますので、ご注意ください。