Q&A6の内容
ここでは、厚生労働省が発表している平成27年改正のQ&A集の中で雇用安定措置に関するものを独自解説します。厚生労働省のQ&A集はこちら
Q6 教育訓練は、OFF-JTのみならず、OJTのうち計画的に行うものを含めていても差し支えないとされているが、派遣先でのOJTについてはどの程度まで計画的な教育訓練と判断してよいのか。
A6 派遣元事業主は、実施を予定する教育訓練計画についてキャリアアップに資する内容であることを説明できなければならない。このため、OJTを教育訓練計画に記載するとともに、計画的に行うものであることを説明できる場合においては、当該OJTの時間数を計画的な教育訓練と取り扱って差し支えない。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111089.html https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111089.html
なお、派遣先に協力を求める場合は、労働者派遣契約等において具体的な時間数や必要とする知識の付与や訓練等について記載しておくことが必要である。
上記Q&Aに対する解説
キャリアアップに資する教育訓練について、簡単に言うと、座学等で行うOFF-JTのほかに、仕事をしながら教えるOJTでもキャリアアップに資する教育訓練に含めても良いか?という質問です。
キャリアアップは、基本的には、仕事とは離れた形で行うのが原則です。しかし、職種等によっては、例えば実際の機械を使い、それを操作しながら教えるという形も当然ありえます。ですが、ただ単に機械の操作方法を教えることがその派遣労働者のキャリアアップに資することを説明できなくてはならないということです。また、OJTで行うということは、仕事をしながらということですので、多くの場合、派遣先の協力が不可欠となります。例えば、その機械の操作方法を具体的に教えるのは、派遣先の社員の方という場合が多いと思います。そのため、どの程度の協力が必要なのかを派遣契約等で明確にしておく必要があります。キャリアアップに資する教育訓練を行う時間は、有給でなくてはならないため、その派遣労働者に訓練している時間は給与が発生します。そのあたりの費用負担もどうするかなど、契約に盛り込んでおかないとトラブルの原因にもなります。
Q&A7の内容
Q7 キャリアアップ措置は施行日(平成27年9月30日)より前に締結された労働者派遣契約に基づき派遣される派遣労働者に対しても適用されるのか。
A7 キャリアアップ措置は、派遣元事業主と労働契約を締結しているすべての派遣労働者に適用され、労働者派遣契約が施行日前に締結されたか施行日後に締結されたかで差はない。
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上記Q&Aに対する解説
以前、解説した雇用安定措置に関しては、法改正以後に締結された派遣契約に基づき派遣される場合からが義務化の対象でしたが(契約前から派遣される方については努力義務)、こちらのキャリアアップ関連は、派遣契約が法改正前から締結されたものであっても、すべての派遣労働者が対象となるので注意が必要です。
Q&A8の内容
Q8 キャリアアップ措置の対象である入職時の訓練は、必ず労働契約を締結し、かつ、労働者派遣の開始前に実施しなければならないのか。
A8 キャリアアップ措置については、入職時の訓練が含まれること、有給かつ無償で実施することと等を定めていることから、入職時の訓練は、労働契約を締結して実施する必要はあるが、労働者派遣の開始前に実施することまでは求めていない。
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なお、入職時の訓練という趣旨を踏まえると、労働者派遣の開始前や開始直後に行うことが適当である。
おって、キャリアアップ措置はすべての派遣労働者を対象としており、日雇派遣労働者についても実施することが必要である。
上記Q&Aに対する解説
入職時の訓練は、必ず行わねければなりませんが、実際の派遣が始まる前に必ず行う必要はなく、働き始めてからでも構いません。働き始めてからいつまでに行わなければならないかという具体的な指導はありませんが、基本的には入職直後に行う必要があります。
回答にあるように入職時訓練も有給である必要があるため、労働契約の締結は必須となります。おそらくですが、この質問者の会社では、労働契約の締結前に訓練を行っている可能性があります。実際に、これまで入職時前かつ労働契約締結前に訓練を行っていた派遣会社は存在します。しかし、キャリアアップ措置としての訓欄は、労働契約締結後に行う必要があります(そもそも労働契約を締結していなければ、その会社の労働者とは言えません)ので注意してください。