事務所の賃貸借契約書にご質問が多いので、ここで解説させて頂きます。

(「派遣業を行う事務所について」のページとともにご覧いただいたほうが良いかと思います)

事務所の賃貸借契約書の注意点

賃借人の名義

事務所の賃貸借契約書の内容は、かなり細かくチェックされるので注意が必要です。

ポイントとしては、まず、
当然ですが、賃借人の欄は、申請する法人名である必要があります。まれに、親会社が事務所を借りていて、実際にそこを使っているのが、子会社の場合で、派遣許可を取りたいのがその子会社の場合は、そのままでは申請を通すことはできません。

方法としては、2つあります。
一つは、親会社から子会社へ転貸借し、親会社子会社間で、転貸借の契約書を締結する方法です。ただ、この場合は、原契約書(オーナーと親会社間で締結された賃貸借契約書)の中で、転貸がOKとなる特約等が必要になります。一般的な、賃貸借契約書には、ほとんどの場合、転貸禁止条項が入っていると思いますので、特約等で、オーナーが転貸を認めている旨が明確になっている必要があります。

もう一つは、単純に賃借人を子会社に変える方法です。こちらの方がシンプルですが、会社の事情もあると思いますので、その場合は、上記の方法を検討ください。

使用目的

賃貸借契約書には、通常、「使用目的」が記載されています。この使用目的が「事務所」になっている必要があります。アパートなどを借りた場合には、ここが「住居」になっている場合がほとんどですので、借りる際に、「事務所」にして契約してください。

また、契約書の中には、使用目的の欄が、「用途」と「業種」の2つが設定されている場合が、まれにあります。
この場合は、その後の条文を詳しく読み込む必要がありますが、多くの場合は、使用目的を変更する場合は、オーナーの承諾が必要となっている契約書が多いです。
そういった条文がある場合で、たとえば使用目的欄の「用途」は「事務所」になっているが、「業種」の欄が、派遣以外の業種になっている場合、この部分のオーナーの承諾が無いと申請が通らない可能性がありますので、注意してください(最近、取り扱った事案で、実際にこのケースがあり、変更が必要でした)。

面積

一般的な、賃貸借契約書であれば、使用面積の記載があると思いますので、そこが20㎡以上になっていれば、特に問題はありません。ただ、まれに、面積の記載がない契約書もありますので、その場合は、契約書に追記していただくか(もしろん契約書双方の承諾必要)、面積が詳細にわかる図面等の添付が必要になります。

その他

上記以外にも、契約条項を読み込むと、まれに理解に苦しむ条文が記載されている場合があり、その部分が原因で、申請が通せないというケースもまれにあります。

そのため、契約書自体の書き換えが必要となるケースがあり、その書き換えや変更に時間を要する場合(オーナーの都合でなかなか変更ができない)も多々ありますので、時間的余裕をもって準備するようにしてください。