派遣法改正後、許可取得又は許可更新にあたって、最も派遣会社様を悩ませているのが、教育訓練に関する計画策定と実施だと思います。
派遣労働者に対する教育訓練は、以下の3種類に分けられます。
①「キャリアアップに資する教育訓練」 ②安全衛生に関する教育訓練 ③その他の教育訓練
キャリアアップに資する教育訓練について
この中で最も重要なのはキャリアアップに資する教育訓練です。
派遣元事業主は、派遣労働者のキャリア形成を行うために、以下を満たすキャリア形成支援制度を有しなければなりません。
①派遣労働者のキャリア形成を念頭においた段階的かつ体系的な教育訓練実施計画を定めていること。
この計画が、許可申請時に必要となる計画です。「段階的かつ体系的」な教育訓練ですので、例えば、職種別及び経験別等、それぞれの派遣労働者に合った教育訓練計画を策定する必要がありますし、対象者は、原則として、派遣元に雇用されている全派遣労働者となります。
では、どのくらいの回数と時間を実施する必要があるか?ですが、
回数については、雇い入れ後、最初の3年間は毎年1回以上行わなければなりません。4年目以降は任意ですので、時間数を減らすことも可能ですが、原則として計画には盛り込むことが求められます(あくまで任意ですが)。
時間については、1年以上の雇用見込みがある派遣労働者に関しては、年間で8時間以上の実施が求められます。1年以上の雇用見込みが無い方については、時間の制限は求められていません(ただ、現実問題として、1年以上の雇用見込のない方にも教育訓練を実施するよう求められます)。
ここで言う「1年以上の雇用見込み」についての定義については、厚生労働者のQ&Aに以下のように記載されています。
1年以上の雇用見込みのある者とは、 1 一の労働契約の期間が1年以上である派遣労働者 2 数か月単位の労働契約を更新し続け、これらの労働契約の期間を通算することにより1年以上となる派遣労働者(改正法施行前の労働契約も通算する。) であり、労働契約がない空白期間があるなら、その前後は通算しない。 ただし、教育訓練の機会の提供の回避を目的として、労働契約を更新する際に、故意に空白期間を設けることは、望ましくない。 なお、2については、更新した労働契約により1年以上見込みとなった段階で8時間以上の教育訓練の機会の提供を行う必要が生じる。ただし、キャリアアップ措置は派遣元事業主に雇用されている派遣労働者全員を対象とすることから、最初の労働契約期間中から、計画的に実施することが望ましい(実施実績時間の起算は、最初の労働契約締結時点である。)。 |
ただし、雇い入れ時の教育訓練については、1年以上の雇用見込みが無くても必要となります。
また、この教育訓練を行った時間は、すべて「労働時間」として扱う必要があります。つまり賃金が発生するということになります。かつ、何らかの費用を労働者から徴収することもできません(労働時間として取り扱うことについて、就業規則や労働契約書に盛り込む必要があります)。
とにかくこのキャリアアップに資する教育訓練計画の策定方法が、労働局において最も指摘・指導される部分になります。どうやって計画を立てていいのかさっぱり分からないという方は、是非、一度、ご相談ください。
キャリアアップに資する教育訓練のほかに、②安全衛生に関する教育訓練と③その他の教育訓練の計画策定も行わなければなりません。これらについては最低時間数等についての制限はありませんが、計画策定は必須となります。
特に、安全衛生に間する教育訓練は、職種ごとの作成が求められますし、労働安全衛生法第59状の規定に基づいている必要があります。このあたりも、よく調べないと分からない部分が多いかと思います。その場合もご相談ください。